的はずれな流行語大賞

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2015年も終わりが近づき、総括を行おうとするイベントが目白押しです。

 

さて、年末の恒例行事の一つである、ユーキャンが提供する「新語・流行語大賞」が発表されました。

2015年の年間大賞は「爆買い」と「トリプルスリー」らしいです。

爆買いは中国人による大量の買い物を指しており、これはほとんどの人がニュース映像を見たことでしょう。もう一つのトリプルスリーとは、野球用語で1シーズンで3割・30本・30盗塁を記録することを言います。
トップテンに残ったうち5個が政治関連用語であることを考えると、なぜこの2つが選ばれたのかについて、あちこちで詮索が行われています。

 

そもそも少数の選考委員がノミネートし選考するという過程自体が、閉鎖的で時代遅れだと感じる人も多いのではないでしょうか。
いっぽう、検索大手グーグルが発表した検索ワードのトップテンがこちら。

  • 大賞:マイナンバー
  • 2位:ラッスンゴレライ
  • 3位:エンブレム
  • 4位:ドローン
  • 5位:北陸新幹線
  • 6位:あったかいんだから
  • 7位:大阪都構想
  • 8位:火花
  • 9位:おにぎらず
  • 10位:モラハラ

こちらはまずまず納得の結果になっていといえます。

いずれの言葉も、直接そのコンテンツを視聴したかは別にして、ニュースやワイドショーで取り上げられた言葉でしょう。

なぜなら、日本で5割以上のシェアを持つグーグルで検索が行われたワードを機械的にランキングしただけだからです。そこに少数の人間による恣意的な操作はありません。

 

だからこそ、ユーキャンが大賞を発表するやいなや、「トリプルスリー」がグーグル検索のトレンドワードとなってしまうという逆転現象を起こしています。聞いたことがない言葉が大賞になったので、慌てて検索した人が多かったのです。

 

そもそもプロ野球(NPB)の試合は、2000年頃には地上波で年間百数十試合が中継されていましたが、近年は年間20試合も中継していません。日本テレビだけで見ても、年間19試合、うちデイゲームが14試合で、全国ネットとなるナイターゲームになるとわずか5試合まで落ち込みます。年間試合数でまったく異なるフィギュアスケートと同レベルの放送数ではないでしょうか。

要するにプロ野球はマイナースポーツに転落したのです。その野球関連の言葉を選ぶなど、選考委員の思考がいかに時代を捉えきれておらず的外れかということがわかります。

 

現代は国民の大多数がおなじものを見る時代ではなくなっています。むしろ個人が自らの趣味で見るものを取捨選択する時代になっているといえます。

さらにこっけいなのは、Youtubeなどマスコミがいわゆる「視聴者」とひとくくりにする名も無き人たちが発信した映像が、「オモシロ映像」などとしてマスメディアに取り上げられる機会が多くなっていることです。

かつては芸能人やプロスポーツ選手など流行の中心人物が分かりやすかったのですが、いまや誰が話題の中心になるかは予測不可能で、かつとても捉えづらい状況にあります。

かつては、流行をめざとく見付け紹介することで信頼性を得ていた放送メディアでしたが、いまではメディアがベストセラーを把握することもままならない状況となっており、信頼性が低下したことにより世論を誘導することが相当無理のある状態となってきているといえます。

にも関わらず流行を左右する能力が自分たちにあると、未だに信じているのが放送メディアのこっけいな姿です。

そういう意味では流行語大賞というものはすでに役割を終えており、むしろ公募により決められる「今年の漢字」の方が、ある程度の偏りは発生するにしろよほど説得力があるともいえるのではないでしょうか。

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