「BANANA FISH」第四話の感想

時代設定を現代に変えたことによる弊害がはっきりでてるように思いました。

志願兵問題

「なぜグリフィンは志願兵となってイラクにいったのか。」

この問いに対してまた新たな付け足し(こじつけ)をせざるを得ず、それはストーリーやキャラ設定にまで細かな悪影響を与えるだろうと思います。

ベトナム戦争と違い、湾岸戦争以降は志願兵のみとなっています。おとなしくて詩を書いているような青年がなぜ志願したのでしょうか?

恐らく生活費を稼ぐためにクソ親父に勧められて…だのといった理由をつけるんでしょうが、ではマックス・ロボはどうして志願したのでしょうか?

マックスをなんとかこじつけたとしても、今後ディノ絡みで登場する人物たちや、チャイニーズマフィアたちの暗躍がどういう原理で動いているかの説明がまた難しくなります。

1980年代の世界

一番の違いは、原作が土台としている1980年代当時は、まだ冷戦下であったという事実です。

ゴルバチョフのペレストロイカを受けてソビエト連邦が崩壊して冷戦が終結するのは、まだもう少し先です。

冷戦終結後の今となってはそれを理解するのは難しいでしょうが、ひとつ例を示せば、核開発を始めとして、衛星打ち上げや月面着陸すらその米ソ対立の一面として国家予算をつぎ込んでまで推進されたという事実があります。それほどかつての冷戦構造というのは両国にとって国家存続上での深刻な事態だったのです。

すでにソ連が崩壊してロシア連邦となり、国際宇宙ステーションで両国を初めとした複数国家による宇宙研究が行われており、さらには「月面着陸はフィクションだった」という珍説がまかり通るような現代ではややおとぎ話めいた話になっていますが。

登場人物の動機

そうした1980年代というバックグラウンドがあるからこそ軍部や政府高官などの人物が「バナナフィッシュ」に興味を示すのであって、その二大巨頭による枠組みが崩壊し、複数勢力同士の複雑な勢力争いや新たに「核」を所持する国家が次々と現れる現代において、彼らがどういう理由で「バナナフィッシュ」に興味をもつのかの説明がまた必要になります。

安易に証拠が残る薬物などを使用すれば、それこそ国際舞台で激しい非難を浴びることになりますし、逆に国際社会から攻撃対象となりかねません。

「動機」がなければ、いくらキディポルノという餌があったとしても「バナナフィッシュ」を使うという選択肢までは至らないでしょうし、それを無視してキャラクターに強引に使わせればそれは物語の現実味がなくなります。

現代であれば、アメリカの仮想敵国は対中国あるいは対テロ組織ということになるんでしょうが、ハリウッドですら念入りに中国語圏対策する時代に、巨大なマーケットである中国語圏を敵に回すのは得策じゃないでしょうし、ファッションセンスの観点からキャラデザインを改変する程度ですから、マーケティング的にそんな選択をするほどの度胸もないでしょう。

テロ組織を麻薬やLSDなどの薬物でコントロールできるのであればすでに実施されているでしょうが、未だに全世界が手をこまねいている状況を見ると、宗教でコントロールされた組織を外部から操るというのは無理だということでしょう。

そもそもそんな大胆かつ緻密な世界設定構築ができるならば、最初からお気楽に時代変更などしていないと思います。

時代設定変更のリスク

設定を弄るというのはそう簡単なことではないのです。

もちろん、特殊なケースというのはどこにでもありますから、「アニメ版アッシュの世界ではそうだった」ということは簡単ですし、そういうことが絶対になかったという証明はとても困難です。

しかし「物語にリアリティを感じること」は、登場キャラクターへの感情移入という面では非常に重要ですから、それが必死に探さないといけないくらいレアケースだということになると、物語の特殊性だけが目立ち、それをキャラクターの魅力だけで押し切るという実に陳腐な内容に堕落してしまうというリスクがあります。

そうならないことを願います。

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