いい加減PCも古くなってきたので、リニューアルしてみた時のメモ。
要求スペックなど
個人的な要求項目の整理
- 普段のブラウジング及び動画閲覧に支障がないこと
- プレイしている3Dゲームが問題なく動くこと
- いわゆるオーバークロック(OC)などは行わずベンチマークフェチでもないため定格稼働前提
- PC内部のファンが頑張ってる状態があまり好きではないため、熱発生につながるスペックは追わない ※静音にこだわるわけではないができるだけ静かな環境
- 購入時点ではかなり余裕のある状態をもち、4~5年間は問題なく上記条件を満たすこと ※グラボ交換は必要な段階で行う前提
動画エンコード、カメラ画像のRAW現像など、現時点において一般的に負荷がかかると言われている作業を全くといっていいほどしない、いわゆるライトな使い方の部類に入ると思われます。
CPU
CPUはいま流行のRyzen以外に選択肢なし。
問題はどれにするのか。お金に糸目をつけなければ最高級のを買えばいいのですが、PCというのは大半の時間がアイドル状態(つまり暇してサボってる)なので、そこはほどほどの線を探すことになります。
Zen2シリーズは大きく分けてRyzen9 / Ryzen7 / Ryzen5と上からカテゴライズされるのですが、大きく異なるのがコア数とTDP。※左からCPU、コア/スレッド数、周波数、TDP
- Ryzen 5 3600 6C/12T 3.6/4.2 65W
- Ryzen 5 3600X 6C/12T 3.8/4.4 95W
- Ryzen 7 3700X 8C/16T 3.6/4.4 65W
このコア数に目を奪われがちなのですが、上に書いたようにほぼほぼアイドル状態が多いのであればそれほど欲張る必要はなく、数年間問題なく稼働できればいいのではないかと割り切ることにします。※AMDのロードマップ的に、ソケットAM5での2発目となる「Zen5」リリース予定の2022年程度まで保てばいい。あわよくば2023年ごろ更新目標。
実際のところ、たまにやるゲーム以外で負荷の高い作業といえばWebブラウザ上での作業ということになるのですが、これは年々負荷が上昇しつつあるもので今現在の負荷を基準に決めてしまうと少しリスクがありそうなので、これに余裕を見たもので十分ではないかと考えたのです。TDP95Wの3600Xが脱落し、残る候補としては3700Xか、3600。大まかなところでは3700Xを積んだPCがセットで13万程度、3600を積んだPCが10万程度で組めそうです。
Youtubeなどで色々調べてみると、どうやら希望のゲームやブラウジングが3600でもかなり余力があることがわかり、最終的に3600に決めました。
購入後の状況としては、結果的に普段のブラウジングでもゲーム中でも、コアの半分程度はparking状態にあるかなりの余裕状態を維持できています。
メモリ
これも大きいほうが良いのですが、調べているとAMD Ryzenはどうも起動速度がかなり遅いらしく搭載メモリの大きさにより下手するとBIOS画面が出るまでに30秒以上かかるケースも有るようです。
また現時点ではWindows10でのスリープ動作がかなり不安定で、マザーボードとの組み合わせなどによりスリープ復帰に失敗するなどの情報もあり、常時電源オフ運用の想定となりました。※購入後にわかったことですが、実際に不安定で(そこまで詰めた調査・調整はしていませんが)現時点ではスリープ運用はしていません。
あまり大きいのも考えものなので、これらを検討した結果、後から拡張できることも考えて16GBにすることにしました。
タスクマネージャーのスタートアップ「直前のBIOS所要時間」がだいたい13秒前後です。
※追記
なおスリープに関しては、「高速スタートアップ」を切ることで可能になるようです。高速スタートアップを無効にするためには、電源オプションの画面で「現在利用可能ではない設定を変更します」のところから、「高速スタートアップを有効にする」のチェックを外せばOKです。
※さらに追記
値段が下がっていたこともあり、16GB足して32GBにしました。私の使い方だと、これで当面はメモリ不足で悩むことはないだろうと思います。実際、自分の中ではかなりヘビーな使い方をしても50%も行かない状態になりました。なおスタートアップ「直前のBIOS所要時間」はだいたい14秒前後とあまり大きくは変化しませんでした。BIOSが練られたことも影響しているようです。
スペック
最終的に購入したスペック概略
- CPU:Ryzen3600
- マザボ:ASUS TUF B450M PLUS GAMING
- メモリ:16GB(32GBに増設)
- グラボ:ASUS PH-GTX1660-O6G
- その他SSDなど
ドライバ更新など初期設定メモ
BIOS(EUFI)
Zenは最近出たものなので、一部マザーボードではフルに性能を発揮させるためにはマザーボードのBIOS及びチップセットドライバを最新のものに更新する必要があります。これが意外に影響が大きく、電源管理や温度設定などにも関わってくるため、真っ先にやるべき項目となります。
TUF B450M-PLUS GAMING BIOS & FIRMWARE | マザーボード | ASUS 日本
当初BIOSバージョン1201でしたが、これだとRyzenMasterでの測定が反映されていませんでした。バージョン1804に更新したところ、正常に測定できるようになっていました。
なおASUSよりもAMD直接のほうが信頼性が高いようです。
BIOS更新はWindows上からだと不安定で失敗する恐れもあるため、素直にBIOSを起動した上でBIOS上から行うようにしましょう。
ASUSマザーボードの場合、電源を入れてからWindowsロゴが出るまでの数秒間、「DELキー」を連打し続けることでBIOS画面に入ることができます。このあたりは購入したパソコンのマニュアルか、マザーボードのマニュアルに記載があるかと思います。
なお通常BIOS更新にはUSBメモリが必要だったりしますが、上記ASUSマザボの場合、簡易的なファイラーが実装されているため、接続されているSSD上でフォルダ移動などを行いながらBIOSファイルを探して指定することで、直接BIOS更新を行うこともできます。
[Übersicht] Ultimative AM4 UEFI/BIOS/AGESA Übersicht ※AGESA Versionごとの一覧
チップセットドライバ
こちらも同様に更新しておきます。
TUF B450M-PLUS GAMING Driver & Tools | マザーボード | ASUS 日本
※これも同様に上記AMDからダウンロードしましょう。
このURLを開いてOSを選択すると、少し下の方に「Chipset」という項目が見つかります。
こちらはWindows上から直接更新をかけることができます。
これもバージョン 1.7.29.0115へと更新したところ、後に述べる電源管理に「Ryzen~~」というAMD専用電源管理プランがいくつか追加されました。
電源設定
デフォルトの設定だと、ブラウザを立ち上げただけでも瞬間的にCPUが全力動作を開始し、ファンが高速回転し始めます。そんなに本気を出さなくてもいいので少し落ち着かせましょう。
「コントロールパネル」-「電源プション」
ここで、「Ryzen Balanced」「RyzenPowerSaver」などが追加されているはずなので、好みの動作プランに変更しておきましょう。
瞬間湯沸かし器でなくてもいい場合は、「RyzenPowerSaver」あるいはWindowsデフォルトで入っている「省電力」プランで十分だと思われます。3Dゲーム稼働時ですらCPUにはかなりの余裕がありますので、色々普段のパソコン作業をしてみて余裕があるようなら、常時、省電力プランでいいかと思われます。
仮にエンコードをしたりするなど重い作業をする時にバランスプランへと切り替えればいいでしょう。
ファン設定
現在はいわゆるAMDのCPUについてくるリテールクーラーです。こちらも色々調べたところ、アイドル状態での冷却性能はリテールでも有名商品(例えば虎徹)でもあまり変わらないという検証結果が出ているようです。とはいえ、現時点での運用ではそうなるだけで、数年後には変化してくる可能性があるため、その時点でのファン変更を検討しようかと思っています。
ファン設定については、いろいろ調べても「Ai Suiteは避けるべき」としか書かれておらず、じゃあ何で調整するのかといえばBIOS(EUFI)で、となっていました。※ちなみにSpeedFanが有名ですが、現時点でRyzen非対応です。
それではあまりにも不便なので、現時点ではAMD公式のツールである「Ai Suite 3」でファン設定だけ行うようにしています。※どうも同ツールに含まれるEZ Update(BIOS更新ツール)が不評なようです。
デフォルト設定だとCPU温度がやや高めに推移しちょっとした作業でブンブン回り始めるため、CPUファンをやや強めにした上で、ケースファンを弱めに調整した設定で使っています。このあたりは設置環境や使用しているケース、ファンの種類や配置などによりかなり大幅に変わりますので、各自の環境で計測しながらじっくりと調整する必要があると思います。
サウンド設定
サウンド設定は、デフォルトだと「リアとフロントの両方にジャックを挿した時にフロントが優先される設定」になっています。この状態ではWindowsのサウンド設定で出力先を切り替えようにも、同じ出力先として認識されるため切り替えできません。切り替えのたびにジャック抜き差しも面倒です。
これを切り替えるには、「ASUS Realtek Audio Control」を使用します。スタートメニューではなぜかASUSグループに入ってないため、スタートメニューで「real」などと入力して絞り込み、起動します。おそらくこの設定を行う人は頻繁に使うだろうと思われますので、タスクバーあるいはスタートメニューにピン留めをおすすめします。
これを起動して、左側メニューの下端にある「デバイス詳細設定」を押すと、次のような設定が並んでいます。
- コネクタ設定
- フロントパネルのジャックポップアップダイアログを無効にする〔オン・オフ〕
- デバイスを差し込むとき、ジャック検出を有効にする〔オン・オフ〕
- コネクタを再接続しています ※オーディオ環境により異なる場合があります
- 背面パネル(青・緑・シアン)
- フロントパネル(緑・シアン)
- 再生デバイス:〔下記から二択〕
- 前面ヘッドフォンデバイスを差し込むと、背面出力デバイスが消音になります
- フロントとリアの出力デバイスが2つの異なるオーディオストリームを同時に再生するようにします
- 録音デバイス:〔下記から二択〕
- 同型の入力ジャック、つまりライン入力またはマイクを1つの入力デバイスとして統合します
- すべての入力ジャックを独立した入力デバイスとして分離します
このうち再生デバイスの設定で、デフォルトだと「前面~」になっているので、これを「フロントとリア~」に切り替えると、Windowsのサウンド設定に「Realtek Audio 2nd ~」的なデバイスが出現し、デフォルトの設定と切り替えできるようになります。後はWindows側のサウンド設定を呼び出し、再生デバイスの名前をわかりやすいものへと変更しておきましょう。ボリュームやヘッドフォンバーチャル設定なども個別に設定可能になっています。
※なお「フロントパネルのジャックポップアップダイアログを無効にする」がオフの場合に、この操作が無効になる場合があるようです。その時は一度「フロントパネルのジャックポップアップダイアログを無効にする」をオンにしてみましょう。
これで、随時タスクバー右側に表示されているスピーカーアイコン左クリックから、出力先をいつでも切り替えできるようになっているはずです。
なお、「ASUS Realtek Audio Control」の「再生デバイス」設定で「スピーカー設定」というものがありますが、これは背面パネル側の音声出力(緑色)をフロントスピーカー出力にしていると、「4チャンネル」や「5.1スピーカー」などが選択できるようになるようです。
ツールなど
その他インストールしたツールのかんたんな紹介です。
気になるのがCPUやGPUの温度ですが、これを検索しても古い情報が出てくるためやや探すのに苦労しました。下記は2019年8・9月現在のものです。大きな変更が入った際には更新する予定です。
RyzemMaster
公式のオーバークロックツールです。
OCはしないのですが、細かい数値を測定する時に起動します。
Ryzenのコア管理はかなり敏感にコントロールされており、Windowsデフォルトのタスクマネージャなどでは正しく測定されないのが現状です。
しかしAMDの公式ツールであるRyzemMasterを使うことでより正確な値を測定可能です。たとえばプロセッサ周波数はWindowsなどだと2200MHz前後で底打ち状態なのですが、このRyzenMasterで測定するともっと低い状態で遷移していることが確認できます。
なおオーバークロックは非常に危険で、最悪の場合CPUを破壊してしまいパソコンが起動できなくなることもあるため、起動時に注意書きが表示されます。よくわからない場合には、起動画面から何もいじらないようにしましょう。
なお2019年8・9月現在、RyzemMasterの稼働にはチップセットドライバを最新のものに更新する必要があります。
CoreTemp
CPU温度を測定する有名ツールで、すでにRyzenに対応してます。
CPU温度、周波数、プロセッサ負荷、メモリ使用量(%)などをシステムトレイに常駐表示させることができます。
CPU関連のモニタリングは基本的にこちらのツールを常駐させています。
HWInfo64
同様にCPU情報のほか、メモリ情報、マザーボード情報、GPU情報などを詳細に表示できるツールです。
こちらはマザーボードの温度やVID(V)、メモリクロック、CoreVoltage、SoCVoltage、CPU消費電力などさらに細かな情報の取得が可能です。
起動時のオプションで「Sensors-only」にすることで、必要な情報が得られます。
このHWInfo64も、CoreTemp同様にシステムトレイに数値表示させることが可能ですが、意外に動作が重いため普段は常駐させていません。通常時は必要ないのですが、BIOSなどの設定を変更した際にセンサー情報で確認するために使用しています。
ParkControl
暇な時にCPUコアが休止することをパーキングと呼びますが、本ツールはそのパーキング設定と監視ができるツールです。オマケ機能として、タスクバーアイコンの右クリックから電源プランを選択して変更可能というメリットもあります。
電力プランごとに、ParkingAC/DC、FreqScalingAC/DCの4つの値を調整することで、どれくらいコアを休ませるかを設定できます。省電力プランにおいて、10% 10% 5% 5%に設定してみました。
2ブラウザ起動でそれぞれ10タブ未満程度の利用スタイルですが、普段のブラウジングでは半分以上が休止しており、下手すると8スレッド~10スレッドが休止しているときもあります。もちろん、これはブラウザの利用スタイルにより大きく変化する可能性があります。※いわゆるブラウザゲームはまったくプレイしません。
ちなみに「電源管理」-「プラン設定の変更」-「詳細な電源設定の変更」で設定できるCPU関連の項目(プロセッサの電源管理)は、デフォルトだと最小のプロセッサの状態、最大のプロセッサの状態、システムの冷却ポリシーの3つだけです。しかしこのParkControlの「Show park settings in Windows Power Options」にチェックを入れることで、さらに細かく調整可能になります。負荷がかかり始めた際の係数を設定することで、どれくらい素早くパーキングから復帰させるかなどの設定が可能です。
※ただし現時点ではまだAMDによるBIOS(及び各種ドライバ)が大きく調整中で、現時点で細かく調整してもあまり意味はないかと思われます。数日前にBIOS更新のニュースが流れ、各マザーボードメーカーからBIOS更新もされていますので、もう少し様子を見る必要があります。
GPU Tweak II
ASUSの出している公式ツールです。
こちらではGPUのオーバークロック設定のほか、ファンの設定、モニタリングが可能です。
こちらでもすぐにファンが頑張り始めるためファン設定を少し緩やかなものへと変更しておきました。
右下からAdvanced Modeへと切り替えた上で、「User Mode」の内容をGPU Boost、Voltage、MemoryClock、FanSpeed、PowerTarget、TempTarget、FrameRateTargetの数値を設定して保存しておくと、起動時のSimpleModeからクリックひとつでモード変更ができるようになります。
激しいFPSゲームなどはプレイしないため、常時30fps維持を目標にゲーム内の設定とGPU設定を調整しました。
なお、ゲームによってはこの「GPU Tweak II」のOSD機能が起動していると動作を停止するケースが有るようです。特に3Dゲームの挙動がおかしい場合はまっさきにこれを疑い、一度ツールを終了するなどして確認しましょう。
ImDisk Virtual Disk Driver
いわゆるRAMディスクを作成するツールです。
色々調べてみると、UIがかんたんでなおかつ動的にRAMディスクサイズを変更できるというメリットが大きいと感じたため、このツールを入れています。
実際にかなり大きいサイズを指定していますが、ダイナミックに確保するスタイルのためサイズ的に普段の作業で困ることはありません。
なおこれはツールの問題ではないのですが、アプリのインストール時に「指定されたデバイスまたはファイルを開けません」というメッセージが出て失敗することがあります。
グーグル先生に聞くと、「DISM /Online /Cleanup-image /Restorehealth」しろだの、「SFC /scannow」しろだの出てきますが、ほぼほぼ無関係で意味はありません。
実際には、RAMディスク上にTEMPディレクトリがあると失敗するインストーラーがあるだけの話であって、このエラーがでた場合には素直に一時的にTEMP及びTMPをSSD(HDD)に設定し、インストール完了後に、再度RAMディスクに戻すだけでクリアできます。
現状の動作状況
PCケースや設置したファン、室温などにより大きく変動するとは思いますが、以上の設定により、Webブラウジングなどでは年間を通じて常時40℃前後で稼働する当初予定していた状態をキープすることができています。※温度はケースやファンの設置状況などに大きく影響されます。
ツールのところでも書きましたが、普段のブラウジングではCPUコアの半分が休止しており、下手すると8スレッド~10スレッドが休止しているときもあります。
さらに3Dゲームを起動してもCPUコアは50℃、GPUも軽い状態で50℃~負荷の高い状況で60℃前後で推移しています。
もちろん普段のパソコン利用スタイルにより負荷は大きく変わりますし、プレイするゲームの種類などによっても要求水準は大きく変化すると思われます。さらに今後数年間の間にWebブラウザの役割は大きくなり、負荷も高くなっていくものと思われます。
そういったところも考慮の上で購入するパソコンのスペックを決めればいいかと思いますが、恐らく大半の方にとっては現時点~数年先までは6コア12スレッド程度でも十分満たせるものではないかと思われます。