なにわ筋線のまとめ

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現在、大阪府で計画が進行している鉄道新線「なにわ筋線」について情報をまとめてみました。

なにわ筋線とは

大阪府大阪市北区の北梅田駅(仮称)から、同市浪速区のJR難波駅および同市西成区の新今宮駅との間を、なにわ筋の地下を経由して結ぶ予定の鉄道路線(予定線)です。

令和13年(2031年)春の開業予定。

  • 2020年夏:JR大阪駅改札内連絡通路の工事着手
  • 2023年春:「うめきた(大阪)地下駅」を「大阪駅」として開業、改札内連絡通路 供用開始、大阪駅 新改札口 暫定供用開始 ※鉄道駅としての稼働は2031年予定。うめきた2期周辺出口(暫定)改札としての稼働が2023年春ということ。
  • 2024年夏:うめきた2期地区先行まちびらき、大阪駅 新改札口 供用開始
  • 2031年春:なにわ筋線開業

 

これで何が変わるのかといえば、関西空港(関空、KIX)から大阪駅・新大阪駅へのアクセスが変わるということです。

読売新聞の次の概略図が、比較的わかりやすいです。

なにわ筋線、事業許可…梅田―関空を最速40分 : 経済 : ニュース : 読売新聞オンライン

関西の空の玄関口となっている関西空港は大阪の南の海上にあるため、飛行機で関空に到着した旅行客は、大阪市街に出るために鉄道移動する必要があります。

関空へはJR西日本と南海鉄道が乗り入れており、

  • JR:関西空港から特急「はるか」に乗車して新大阪駅へ
  • 南海:関西空港から特急「ラピート」に乗車して南海なんば駅へ

と移動します。しかし肝心の大阪市街の中心地であるJR大阪駅(大阪メトロ梅田駅、阪急・阪神梅田駅)へは直接接続していません。

これが、なにわ筋線開通後は、次のように変わります。

  • JR:関西空港からなにわ筋線に入り、JRなんば駅、北梅田駅(仮称)を経由して新大阪駅へ
  • 南海:関西空港からなにわ筋線に入り、南海新なんば駅(仮称)を経由して北梅田駅(仮称)へ

この関西空港と難波・大阪駅を直接つなげるのがこのなにわ筋線の大目的だと言って差し支えないと思います。難波はいわゆるミナミエリアであり、大阪駅はいわゆるキタエリアであり、それぞれ大阪市街の中心部です。ここへ乗り換え無しで直結できるようになれば、関空を経由した導線が大きく変化します。

また後述するように、接続路線が多く既存路線よりも少ない駅数で接続することから、観光客だけではなく一般市民もまた大きな恩恵を受けうることが想像できます。

乗り入れ

道路なにわ筋は、大阪メトロの四つ橋線と(なんば以西)千日前線のちょうど中間を南北に走っており、ここにJR・南海の路線が新設されることになります。

上でも書きましたが、このなにわ筋線にはJRと南海が乗り入れ予定で、特に西本町駅(仮称)から北梅田駅(仮称)までは共用線となります。

建設と施設(線路・駅)を所有するのは「関西高速鉄道」という会社で、これはJR東西線を所有している第三セクター会社です。大阪府・大阪市・JR西日本・その他が出資して設立されており、なにわ筋線はこのJR東西線と同じ方式で建設・運用されます。※なにわ筋線建設に当たり、南海鉄道も資本参加。

関西高速鉄道 – Wikipedia

中之島駅(仮称)

梅北新駅(大阪駅隣接)を南西方向へと出たなにわ筋線は、南下して中之島を通ります。

大阪市の中央北寄りにある中之島は従来陸の孤島でしたが、2008年に開業した京阪中之島線により東方向については、なにわ橋駅・天満橋駅経由で他路線とも接続されています。しかし西側については行き止まりとなっており、やや伸び悩んでいるようにも見えます。

なにわ筋線は、この京阪中之島線の中之島駅西側に建設予定で、地下駅で相互に接続される予定です。

西本町駅(仮称)

西本町駅は、阿波座1丁目交差点付近に建設される予定で、大阪駅から南下したなにわ筋線は、ここでJR線と南海線に分岐し、さらに南下することになります。

JR難波駅

JR側に分岐したなにわ筋線は、現在のJR難波駅(地下駅)へとダイレクトに接続します。ここからJR大阪環状線(大和路線)の新今宮駅、天王寺駅を経由して、阪和線を通って関西空港へと至ることになります。

南海新なんば駅

一方南海側については、既存駅ではなく(なんば付近に)新設される駅へと接続後、Zeppなんば大阪の西側付近から地上に出、国道25号線を高架で交差して南海鉄道・新今宮駅(南海本線・南海高野線)を経由して関西空港へと至ることになります。

南海新なんば駅の位置については、大阪メトロの四つ橋線なんば駅と御堂筋線なんば駅の間を走る阪神高速環状線のちょうど真下に建設予定です。

現在の南海なんば駅からは北西に少し離れた位置であり、また近鉄および阪神電鉄の大阪難波駅の南側に位置することになります。

梅北新駅(JR大阪駅)とは

一方、このなにわ筋線の北端に新設されるのが「梅北新駅(仮称)」で、現在のJR大阪駅・大阪メトロ梅田駅、阪急・阪神梅田駅の北西側に新しく建設予定です。

2020年3月、JR西日本は「うめきた(大阪)地下駅」の名称を「大阪駅」に決定したと発表しています。大阪駅西側にできる「大阪駅 新改札口」と地下でつなぐ改札内連絡通路の整備を行うことで、従来のJR大阪駅との一体運用を行うとのこと。

※この模型写真は大阪駅を西側上空から見たもので、奥の左側に阪急梅田駅が位置しています。手前右の水色のビルは、日本郵便・JR西日本・大阪ターミナルビル・JTB連合が旧大阪中央郵便局跡地に建設予定の高層ビル(「梅田3丁目計画(仮称)」、2024年3月竣工予定)です。

 

位置関係的には次の図のようになり、JR大阪駅を中心に各路線が集中するエリアの北西側に設置されることがよくわかります。

 

東海道線支線地下化・新駅設置:JR西日本

うめきたエリアというのは、過去に梅田貨物駅が存在していた場所(梅田北ヤード、上図の薄青色部分)で、非常に広大なエリアを占めていました。しかし大阪駅北側が超一等地となった今、貨物駅をここに置く意味が問われ、貨物駅機能は吹田駅および百済駅へと移転しました。

JR特急「はるか」は、この貨物駅の北西端を通っている貨物線を経由していたためにJR大阪駅へは乗り入れできなかったのですが、ここに新線なにわ筋線を通すことにより、JR大阪駅へと直結できるようになるということです。

では梅北新駅の具体的な位置について見てみましょう。

東海道線支線地下化・新駅設置:JR西日本

上写真の左上に見えるのが梅田スカイビル(ウェスティンホテル大阪)で、右上半分に林立するビル群が先に整備されたグランフロントエリア、手前右寄りに見えているスケルトンなビルが大阪ステーションシティ駐車場です。光線で描かれているのがなにわ筋線で、グランフロントビル群の左側の緩いカーブ部分に梅北新駅が建設予定です。※奥の梅田スカイビル手前を南西に走っているのが現在の貨物線で、特急「はるか」も、現在はここを通過しています。

これらが確認しやすい動画が、「うめきた」新駅、工事は順調 2023年春開業予定:朝日新聞デジタルにあります。動画頭ではエリア全景が、また20秒過ぎからは奥を通過する特急「はるか」が確認できます。なにわ筋線開通後は、特急「はるか」も貨物線ではなくなにわ筋線を経由して梅北新駅を経由して新大阪駅へと至ることになります。

その他接続

このなにわ筋線は、JRおよび南海だけではなく、さらに阪急電鉄も将来的に接続予定となっています。それぞれ見てみましょう。

阪急「なにわ筋連絡線」

阪急電鉄は、なにわ筋線梅北新駅から十三駅の地下ホームへと接続する路線を新設する計画を発表しています。これにより、阪急各線からなんばミナミエリアへと直通できることになるということです。

※元々阪急は規格を合わせることで大阪メトロ堺筋線と直結して大阪市内域へと乗り入れており、大阪駅の西側には自身のターミナル駅である阪急馬田駅もあります。しかし新設の梅北新駅からは直線距離で500m近くありさらに地下街をウネウネと移動する必要があるため、今回なにわ筋線にも直結することで関西国際空港経由の客も取り込もうという計画です。乗客としては、阪急十三駅経由での分岐によりさらに京都方面や神戸方面など各地への到達が容易となります。

JR西日本「おおさか東線」

JRおおさか東線は、従来大阪市の東端を走っていた貨物線を旅客路線へと改修したもので、すでに2019年3月に新大阪駅 – 放出駅間が営業開始しています。

このおおさか東線は、なにわ筋線開業後には梅北新駅へと延長することが発表済です。少し大回りですが、大阪東部からも直接梅田エリア(さらに関西国際空港)への乗り入れが可能となります。

鉄道ニュース週報(148) JRおおさか東線の全線開業、恩恵を受ける地域はどこか? | マイナビニュース

大阪メトロ「四つ橋線」

大阪メトロ(旧 大阪市営地下鉄)の四つ橋線は、現在西梅田駅までとなっていますが、これを延長することで阪急十三エリアと接続する構想があります。

上記の阪急の接続線とかぶることになりますが、接続先が梅北新駅なのか、西梅田駅なのかで違いがあり、さらに大阪メトロとの接続で利便性が向上することが期待されています。

しかしこの構想については、西梅田駅の北側に阪神本線の地下トンネルが存在することから、現在も不透明なままです。

 

まとめ

2023年春にこの「なにわ筋線」が完成すれば、大阪の南北の接続が大きく変わることになり、その恩恵は観光客ばかりでなく一般市民にも大きなものとなりそうです。

 

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