大臣の育児休暇取得

政治漫談
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小泉環境大臣が育休制度を進めるために、自ら育児休暇を取得することを宣言したそうだが、これほど馬鹿らしい話はない。

 

それよりも有給休暇制度

そもそも日本の多くの会社での問題点は、育休などよりも有給休暇の取得率が異常に低い点にあるのは百も承知のことであって、それすら厳しいのに育休取得を言い出そうものならどうなるかを考えればとても社員側から言い出せないのが問題なのだ。

未だに有休申請をすると、上司から「何するために休むの?」と聞かれるだろうが、これは違法である。繁忙期などを避けて業務に特別な支障が生じなければ、理由なく取得することができる(有休取得を妨げてはいけない)と法で規定している。もっとも有休の申請用紙に事由欄(理由)がある会社が一般的ではないだろうか。まずここから止めさせなければいけない。

もちろん会社ではみんなが担当業務があり、よほど並列化された業務でもなければ、自分が休めばその業務は停止してしまう。完全に業務停止しなくとも多少は影響が出てしまう。

そのため、自分が休むと周りに迷惑をかけかねない。一人で休むと周囲に気を使わなければならない。だからよくあるのが「夏休みとか正月にみんなで有休を取得してしまおう(赤信号みんなで渡れば怖くない理論)」という馬鹿げた風潮であり、これも多くの会社で行われていることだろうと思われる。制度化してる会社もよくあり、自分ひとり出社しますと言っても通用しない。

こうした風潮をまず撤廃させない限り育休など夢のまた夢であり、たとえ大臣一人が休もうが変わるわけがない。そんなに楽な話であればブラック企業などとっくの昔に一掃されているはずだ。日本の大半の企業では、休む以前に定時で全員がすっぱり帰宅できない完全ゼロ残業すら未だに遠い道だろうから、お寒い限りである。

まずは欧米企業のように、残業はしないのが当たり前でむしろ定時退社を前程とする。しかも有給休暇を何のわだかまりもなく、しかも長期間取得できることを常識化、常態化することが大事なのだ。そのうえで、育児休暇申請がある。

育休制度の欠陥

また育休制度は子供一人あたり一度に取得することが条件となっている。

例えば週休4日(土日以外に2日休み週3日だけ仕事に行く)などの柔軟な育休取得はできない。この場合2日間だけが育児休暇となり、その後その子供については二度と育休取得はできない。こうした制度上の欠陥もある。

有休申請すら難しいのに、育休など何をか言わんやである。

※なお一般的な(雇用保険対象の)会社員の育休取得中の給与は雇用保険から補填され、会社側の負担はない。

 

特別職の国務大臣が取得する意味

そもそも国務大臣は特別職の国家公務員であり、勤務時間すら縛られていない。

それ以前に衆議院議員でもある小泉氏は、たとえ国会開会中に出席しなくとも歳費(いわゆる給料)が全額支給されるというまさに特別な地位にある人間でもある。これは有権者の意思を国会に反映するという民主主義の制度上尊い責務があるためだ。だから開会中は不逮捕特権(相当妥当性のある事由をもって申請しなければ免責)まである。

しかも、小泉大臣は育児休暇制度の所轄官庁である厚生労働省の大臣ですらない。環境大臣であって、育休にはまったく関係がない(育休取得すると環境が改善されるのだろうか?)。たとえば、影響力のある芸能人(一般的には個人事業主)が育休取得を宣言をしても「何の意味があるのか」と攻撃すらされかねない。それに近しいものがある。

ということは、今回の小泉氏の休暇取得は「サボり宣言」に過ぎない。

 

まとめれば今回の育休取得宣言は、特別かつ重要な地位にある自分が堂々と休みますよという宣言を公に行い、それをまたマスコミや一部のパタニティ推進をしている人たちが何の考えもなく持ち上げているだけに過ぎない。まったく馬鹿な話である。

 

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