久々に政治ネタ。
まあ旧ツイッターとか見てればわかるかと思いますが、言うまでもなく私は保守思想です。というか自国の国土や国民の生命身体財産に責任を持てば、「ゼロからリセット」みたいな投げやりな政治では困るわけで当然保守思想基本になるわけですが。それは議論する気もないので置いといて。※私は議論をするためにこれをポストするわけではありませんので、この投稿へのコメントは一切受け付けません。
目次
※追記に飛びやすいようにいちおう目次を表示します
昨日2024年10月27日(日)は第50回衆議院議員総選挙があり、当日投開票が行われ、夜半には大勢が決まり、躍進する党、縮退する党いろいろあったのですが、その中で国民民主党が若者層(確か20代・30代層)に支持されて躍進したというのがありました。実際想定外らしく、比例名簿が足りなくて2つの比例ブロックで他党に計3議席も譲ることになった。
※この若者層への支持の広がりの要因については議論があるが、個人的には103万円の壁の破壊(という主張)が効いたのではないかと考えている。18歳から選挙権があり最低賃金が上昇した現在、20代は当然、30代にとっても103万円の壁(所得税がかかり始める限度額=基礎控除48万円+給与所得控除55万円を超えた額に所得税がかかる)という問題は意外に大きく、いわゆる正規雇用者を含む大半の若者や主婦層にも訴求力がある。※例えば時給1100円で12ヶ月働くとすると、毎月78時間相当(1,030,000円÷12ヶ月÷1100円≒78時間)で年間の非課税分が頭打ちになりそれは毎月85,800円にしかならない。78時間というと週末2日に8時間ずつ働けば(2日*8時間*4週=64時間)残りはほとんど稼働できない。人不足が叫ばれる中非常にもったいないと言うしか無いし、学生でももう少し働ける(稼ぎたい)と言う人は多かろうと思う。実際には大半の事業所で月88,000円以上だと所得税を源泉徴収してしまうため取り戻すための確定申告が必要(親切な企業なら年末調整をしてくれるかも知れないが)。学生が言葉しか聞いたことのない「確定申告」をいちいちしてまで取り戻そうと思うのかと考えれば(しかも実際に返ってくるのは翌年6月頃)、細かいがここも何らかの手当が必要だろうと思う。
また主に103万円前後の有権者を対象に話を進めているが、もちろんサラリーマンにも影響がある。基礎控除の変更はほとんどすべての給与所得者にとって意味があり、しかも高所得者ほど控除される額面は大きくなるという性質がある。ただしこれをもって「低所得者を騙している」などと妙な指摘をしている人が多数いるがそれは正しくなく、高所得者は=高額納税者なわけですから控除されるものが増えればその恩恵ももちろん受けるわけです。それは不当な不労所得やバラマキなのではなくそれぞれが働いて得ていたもののうち納税していたものが一部手元に残るだけです。元々それだけ勤労して納税しているわけですからそこに差が生じるのは当たり前の話です。しかし控除される額面でなく実際の手取りに対する控除される割合を見てみると、当然ながら低所得者のほうが大きいわけです。2000万円の高額所得者の例などが出ていますが、実際103万円の壁で苦しんでる人は数万円でも大きいわけです。タモリさん的な例えをするなら、財布に2000円持っている人と103円しか持ってない人とでは10円の重みは大きく違うのは当然です。その人によっては結構低いところにある”壁”をどうにかすることで同時に高額納税者でも恩恵はあるが、そこは別の面で調整するという話にはなるでしょう。
103万円の壁は、(上記源泉徴収額なども含め)労働力不足が叫ばれる中では圧倒的に「それ以上働くな!」という馬鹿らしいほど大きな反対圧力となってしまっている。労働力不足解決のためにわざわざ外国から労働力を導入しようというのはバカの発想でしか無いし、新たな搾取構造でもあると思うし(賃金も含め彼らは航空便しか無い日本への渡航費用まで自己負担しており、実際は斡旋ブローカーが一時負担して借金となる)、犯罪の温床にも成りかねない。なお一応書いておけば、この103万円の壁(トリガー条項も自民一部議員が主張していた)については従来自民党でも議論が行われてきたが結局実現できていない。自民の税調など財務省とべったりなのでできるわけがない。それを第三極として与野党両勢力から声がかかるようになった国民民主(しかも代表は元財務官僚)が旗を掲げることに意味があると考えている。特に政治課題などは誰が言い始めたかではなく誰が実現力を持っているかが大事なのだ。国民民主がこれを第一に掲げると、「俺も言ってきた」「私も言ってきた」とあちこちで代表/幹事長などが言っているが、大事なのは「言ってきた」ではなく「必死で実現しようとしてきたか」である。それを30年間も放置してきたからこそ政治不信に陥っているのだ。郵政を解体する!自民党をぶっ潰す!以降ワンフレーズ政治家が増えたが、こんなに身近でかつ実現可能なところにある社会問題を第一に掲げる政党はなかった。
中高年はすでに忘れてしまっているが、若者は必ずこの道を通り、疑問に思う。なぜ103(106/130/150)万円なんだろう。何故こんなめんどくさい制度なのに、理屈としてはおかしいのに親たちは大人たちは何故何も言ってこなかったんだろう。なぜわかりやすい制度に変えないんだろう。なぜ若者の政治参加と言うと基地反対だったり環境問題だったりジェンダーだったりなんだろう。それ以外は声を上げてはいけないんだろうかと。今までなぜ政治家はここを改善できなかったのか。ここは与党も野党も真摯に反省してほしい。本来は野党第一党もこういう細かな政策実現を掲げるべきだと思うが、活動家は相変わらず政局しか興味がないため実際には比例得票数は伸びていない(国民民主は+357万、立憲は+6万。れいわでも+159万、参政+187万、保守+114万と、政局で遊んできたツケは立憲が支払わされれている)。そして今回、国民民主が単純とも言えるこの政策課題を第一に掲げ、特に若者から圧倒的な支持を得た。
あとそもそも「103万円の壁」を誤解している人がいるが、例えば年収300万、400万と圧倒的に超えてる人からすれば「なんで払うべきもの(税金)を払わないの?」「なんでシフトに入るのを止めちゃうの?」「税金払っても働けばいいじゃん」という単純な疑問が湧くのだろうが、このラインを超えるか超えないかの人から見ると「この先中途半端に超過すると、入った数時間分実質的な手取りが減っちゃいます」ということこそが問題なのだ。月給(といいつつ実は日給月給制もっと言えば時給制。なぜなら時間外手当を算出するためには時給計算が必要なので)のサラリーマン・OLからすると「どうせ1ヶ月働くんだから」という感覚だが(むしろ入らないという選択肢が無い)、シフト勤務している人からすると103万を始めとした壁を超えると「シフトに入っても数時間あるいは数十時間働くまでは(実質手取りが)シフトに入らなかったのと同じ。あるいは実質マイナスになる」と言われると「じゃあ入るのをやめよう」「(所得税もかからないキリもいいし、誰かが休んだりしてシフト要請があったりするので)103万円未満にしておこう)となるのは人の判断としては当然で、だからこそ”壁”になってしまうのだ(シフト勤務の人は数十時間というと下手すると月の半分の労働時間とかに相当してしまう)。どうせ払うから、給与天引きされるからという人にとっては、当たり前だが壁になっていない(とっくに超えている)ので実感が湧きづらいが、言ってしまえばこの種の103万円の壁が理解できてない人は、基礎控除・給与控除の意味を本当は理解できていないということなのだ(会社=経理部が給与計算から納税まで全部やってくれてるから意識する必要がない)。103万円をバカにしている人にも(たとえ年収2千万円の人でも)基礎控除額の変更は恩恵がある。しかし日本経済はこういうシフト勤務(いわゆるアルバイト・パートタイマー)の人に支えられており、日々の小売店などであなたに応対している人は、個人商店などを除いてほぼすべてがこういうシフト勤務の人だということを忘れてはならない。大半のチェーン系小売店は店長だけが正規雇用(またはフランチャイズオーナー)か、あるいは店長すらシフト勤務になっており、多くが103万円の壁を意識せざるを得ない人に多くの小売店舗は支えられている。だから気づけば「今の店員外人だったな」「ここも外人だな」ということになるのだ。それはこういう”壁”の存在と、上がってしまった最低賃金が起こしていると言っても良い。ましてや今後も最低賃金を上げていこうと言っている中(それはそれで必要)、この壁問題はとても重要なのだ。
そして当然各マスコミがキャスティングボードを握った国民民主党に注目してインタビューするわけですが、日テレの 「news every.」だと思うのですが、鈴江奈々キャスターが国民民主党の代表・玉木氏にインタビューをしていたようです。たまたまその動画を目にしたのですが、いいQ&Aがあったのでメモしておきます。
※一応時間指定リンクしてますが、3分15秒あたりから。
動画はすぐ消えるだろうから文章でも引用をしておきます。以下、下線強調は引用者による。
鈴江キャスター:「一方で野党系は過半数を超えています。野党でまとまれば政権を取れる議席ですが、そこの可能性は探らない?」
いわゆる第二次安倍政権以降の、野党やマスコミの主な主張だと言ってよいでしょう。「野党が一致団結すれば政権交代できる」そして自公与党が過半数を割り込んだ今回こそそのチャンスじゃないかというものです。
しかしこれは小学生でもわかるように手段と目的を履き違えている論理です。政権交代するのは何のためか。政権交代した先に何があるのか。そもそも何のために政権交代するのか。
まあいわゆるパヨクな方々と議論しても意味がないのでこれくらいにしておきますが、これに対して、玉木代表はものすごくわかりやすくその野合には意味がないことを諭します。
国民民主党・玉木代表:「いまの野党全部まとめて政権取ってもらいたいと思います? 私が一番心配しているのは外交・安全保障なんですよ。今こういうふうに与党も野党も単独で過半数取る状況じゃない。極めて不安定。来月にはアメリカの大統領選挙がある。日米の安全保障を担当する責任者が代わったり、あるいはカウンターパートが変質する可能性があって、そういう中において、仮に安全保障で一致できないような、そもそも閣内で揉めるような形だと、南西諸島方面に対してすぐに領空侵犯、領海侵犯、またいわゆる有事が起きる可能性もあるので。外交安全保障とか原発を含めてエネルギー政策とか、国家の基本政策について一致できない人が集まってやっても、これは国のためにならないので」
※政局的には、わざと自民党が野田代表を一斉に指名して無理やり立憲民主党政権を誕生させ、参議院では与党支配なことから参議院ですべての法案を否決しながら戻した衆議院では(再可決には2/3が必要)それにも反対することで政権を完全に無力化するという戦術もあり、それは後述の榛葉幹事長が説明している。そもそも衆議院ですら予算成立もしない可能性も高く自民党としても、肉を切らせて骨を断つ戦術であり成功する可能性も低く、さらなる政治不信からの野党得票を伸ばすだけという可能性も高い。
なぜ政治家になるのか。
それは国民国家を守るためであり、日本国民の生命財産を守るためであり、その利益権益国益を世界で確保するためです。当然政治家たろうものはもっと先も見据えているでしょうが、今の日本には世界にどうこういう資格も実力も実際問題ありません。もちろん主導できる資格実力がないからと言って何もしなくても良いわけでは決してなく様々な働きかけが必要とされているのですが。そのためにも基本的政策で閣内一致をするのは必要最低限なことぐらい誰でもわかります。閣内でまとまってないものが外に出て一体何を話す気でしょうか。まさか「トラストミー」とか「セクシー」を繰り返すとか?
※なぜ日本が世界から高く評価されるのかと言えばそれは皮肉なことに安定した政治構造だからです。安定した保守政権が続いているということは海外投資対象としても安心できるし、外交・安全保障体制においても信頼した関係性が構築できる。しかし例えば旧民主党政権時代はかつてないほどの株安で(信用できないので当たり前)、しかしながら円高誘導(大臣が介入基準を公言するほどバカな政権)だったことから、輸出産業に決定的なダメージを与えてしまいました。日本は基本的に内需が限られているため、儲けるためにはグローバル企業化して海外で売るしか無いのですが、そうした構造はまるで無視した金融・為替政策でした。日本が取るべき道は、安定した政権を確立しつつも、各政党が是々非々の姿勢で個々の政策実現を果たすという方向性が一番安定性が見込めるでしょう。
しかしなぜか野党やマスコミの方々はこの基本的な理屈がまったく理解できていない。いやそれぞれの個人的には理解しているのかも知れないが、マスコミに登場するときにはまったく理解できてないように振る舞う。ねじれ国会ですら議論が進まないのに、閣内不一致であれば当然国会での議論もスムーズに行くはずがない。閣内不一致でどうやって外交をやるのか。外交やる気がないのか?相手の国(当然相手国の国民が背後にいるし関係国もいる)に対しても失礼だろう。しかしそれでも野合をやれという。最大野党支持母体の「連合」の会長も口を開けば野合を言う。
「いやいや野合じゃないよ」とノウノウと抜かすのだろうが、国の基本政策すら一致しようもない集団の連立が野合以外の何物だというのだろう。マスコミや一部野党は「裏金」連呼で政権交代をみたいなバカなことを言っているが、さすがに日本の有権者はそこまでバカではない。結果的には約30年ぶりというハング・パーラメント状態を選択した。
実際、玉木代表から逆に問いかけられた鈴江キャスターはちょっと困ったように口を尖らせています。「そんなことを言われても…」といったところなのでしょう。
※戦略的な面でも、来年2025年7月までには参議院選挙が実施される。わずか8ヶ月後です。そうなると各党党勢拡大に向けて短期的視野の下手な手は打てないわけです(半数改選の参議院での勢力拡大は2回連続で勝つ必要がある)。ましてや国民民主党は、旧民主党勢力では独自色を打ち出すことで今回支持を得たのですから、当然この方向性を維持拡大したいところでしょう。つまり今この場面で立憲民主党との連立はありえないわけですが、どうもマスコミや左派の一部には2024年10月に石破内閣に対する内閣不信任案を4党(立憲・維新・共産・国民民主)共同で提出したことを引き合いに出して「今こそ自民党政権を倒すべきだ。そのために野党大連立をすべきだ」などと主張しているようですが、まさか必死であがいて旧民主党勢力と決別して独自勢力を築きかけている国民民主党がそれを選択するとは思えませんし、ましてや党勢を4倍に拡大した(10月時点衆議院では維新44、公明32、共産10に次ぐ7議席しか無かったが、現時点では維新38に次ぐ28議席で、公明24すら追い抜いた。その次がれいわ9、共産8)今と10月とはまったく取りうる選択肢が違うでしょう(しかしイマイチ国民民主は信じきれない部分がある)。もっといえば維新38は不信任決議とは違ってこの連合(連立)にはまず入らないでしょう。維新が入るとなると立憲左派、れいわあたりが激しく拒否するはずです(このあたりは大阪で維新全勝した煽りもある)。となると維新抜きでは立憲148+国民28+れいわ9+共産8+社民1で194にしかならず、(維新か国民民主かどちらかを欠いてしまっては)とうてい自公の215には足りないわけです。マスコミは「野党(与党以外)」という括りで無理やり算数して自公に勝てるとか夢見てますが、各党の事情はそんなものでは無いということです。結局は冒頭の問いに戻るわけです。政権交代するのは何のためか。政権交代した先に何があるのか。それを立憲民主が描けないから、先が見えないからこそ、国民民主は野党連合というものに対して躊躇するわけです。こうした国民民主や維新の立ち位置(は結果的に自民党を利する行為に映る)を第2自民党などと揶揄・批判しますが、そんななんでも反対の野党こそ国民に対して無責任だと言えます。中国が台頭するどころか世界に対して踏み絵を迫るような状況下において、日米間の安全保障すらないがしろにしかねない野党が裏源問題だけという単純な理屈で政権を取ってしまえばどうなるのか。エネルギー政策はどうするのか。潔癖症に原発ハンターイと叫ぶだけでは国は成り立ちません。長期的かつ国際的な視点を持ちながら、リスクとも向き合いながら現実的に政策を決めていくべきです。もっといえば万年反対野党という存在は「政治屋」だと言っていいでしょう。国民は物価高騰に喘いでおり、コメ不足から来た米価高騰に日々困っているのですが、そんなことは政治家は誰も触れません。環境庁主導で強行したレジ袋有料化だって本心から納得してる人は少ないでしょう。しかしだからといって消費減税などという手抜き主張はいただけません。
この鈴江キャスターなど、帰国子女であり、 慶應義塾大学経済学部卒業であり、そこから日本テレビにアナウンサーとして就職されたという、日本でも上から数えたほうがよっぽど早いような超絶優秀な人である。Wikipediaを見ると今やエグゼクティブアナウンサーらしい。エグゼクティブですよ。しかしキャスターという肩書を背負ってでも、カメラの前でこんなバカな質問をせざるを得ない。実に嘆かわしい。別に当該キャスターを馬鹿にするものではなく、大半、ほぼすべてのキャスター連中が同じ質問をするだろうことはわかっている。決して彼女だけではないし用意された台本に突っ込んでも仕方ない。
まあ仕方がないのだが、それに対して日米間の安全保障を例にコンコンと真摯に丁寧に回答する玉木氏は、まあ覚醒玉木氏が続いていると言うしか無い。そりゃ若者層からも支持が集まるわけだ。
追記(10月30日夜):
追記(11月1日夜):今までと何が違うのか?
追記(11月2日):
こういう記者会見をふだん見ない人は驚かれたかも知れませんが、この記者は東京都知事会見(いわゆる「排除されないということはございませんで、排除いたします。」発言を引き出した人物)でも大阪府知事会見でも、話題があって注目されている場に現れてはこういう自己主張をして場を荒らすことで有名です(たいていは一部野党の主義主張に沿う意見を大声で喚き散らす)。それをマスコミも面白がって(記者の名前を出さずに)与党批判などにうまく使ってきたわけです。今回もこの榛葉会見で”立憲野田と書かないのは国民への裏切りだ”という指摘があったことだけ(記者の名前を出さずに)うまく拾って国民民主批判の記事にしています。まあド腐れ具合に呆れますが、これをシャットアウトすれば次は報道の自由を盾に裁判も辞さないでしょう。政治は権力闘争ですからそういう勢力も居るということです。潔癖症や神経質では政治家はできないというのはこういうところにも現れています。
例えば共産党もかつていまの国民民主同様の主張をしていたことがあり、その際には「高所得者ほどこの政策の恩恵を受けるという指摘はまちがいであって、そもそもの納税額が異なってため実際には低所得者のほうが恩恵の”度合い”(=収入に対して実際に控除を受ける額面の割合)は高い」という主張をしていたのですが、今回の国民民主の動きを受けてなのか何なのかは不明ですが、最近慌てて消してしまったようです(むしろ高所得者ほど恩恵が大きい!低所得者をバカにした政策だ!と騒いでいる)。おそらく立民と組んで国民民主を邪魔するにあたって、不利な主張を引っ込めたのでしょう。こんなのははっきりいって政治家ではなくアジテーターです。
追記(11月5日):まず党内でしっかり意見の統一を図っていただけませんか
火曜日でいろいろあったのですが、特に笑ったのがこれ。
立憲民主党・野田代表との代表会談終了後のツイッター(X)。
立憲民主党側から103万円の壁の見直しについて協力したい旨のお申し出をいただきました。大変ありがたいことですが、盛んに反対の意見を発信されておられる方がいらっしゃるようなので、まず党内でしっかり意見の統一を図っていただけませんかとお願い申し上げました。
会談直後に行われた代表・幹事長・国対委員長の記者会見においても同じことを言っています。
※一応時間指定リンクしてますが、1分52秒あたりから。
いいですね。単にツイッター(X)だけでなく、記者会見映像もきっちり公開し、なおかつその中で記者に対しても発信することで明確な楔になります。他党に協力を申し出ている現時点でも、立憲民主党は党内で意見統一できてないのだと。今後おそらくマスコミや野党は「国民民主のわがまま(あるいは国民民主側のなんらかの不都合)が原因で立憲民主党および共産党等などが離脱せざるを得なかった」(立憲共産党は何も悪くなーい)的な言動に出るのは誰にでも容易に想像できますので。
これはもちろん会談で野田代表に対して要請したことのようです。まあ痛烈な嫌味であり、非常に残念ながら事実ですね。実際に目につくところでも、米山議員や小西議員が103万円施策について否定している。というか明らかに賛意は示していない。
※ましてや米山議員に至っては「立憲民主党内でこの件について何らの機関決定はされておりません」などと言っており、有権者としては一体何を言ってるんだというまさにポルナレフ状態になってしまいます。仮に米山議員が正しい(つまり103万円問題の取扱について党内で正式決定されていない)のだとすれば、代表会談で協力を持ちかけた野田氏が何をしてるのか意味不明ですし(党内決定も一任もされてないのに他党に協力を申し出るとか有権者舐めてんのか?)、そうじゃない(米山議員が白昼夢を見ている)なら対外交渉中にも関わらずまさに交渉事項で公然と叛旗を翻されてしまう政党代表って何なんだろうという感じです。こんな状態では当然政党間での協力関係なんて難しいと考える人が多いでしょう。まあ立憲民主党ならいずれのケースが起こっていても何ら不思議じゃないというか、そんなのが比較第二党すなわち野党第一党だということが、ましてやそれを持ち上げるマスコミ各社とかもろもろの政治的状況が、有権者として本当に嘆かわしい状態です。そりゃ政治不信なるだろうと。
なんか国民民主は異論を認めないとかぐちゃぐちゃ言ってる人もいますが、公党と公党が手を組もうというときに、まさに交渉事項について党内の意見すら統一できてない党同士がどうやって手を組むというのでしょうか。むしろ党代表が代表の仕事(党内の意見を集約し合意を得る)をしなさいということでしょう。だから立憲民主党は野党の盟主たり得ないのです。しかも滑稽なのは国民民主側から呼びかけたのではなく、立憲民主野田代表から103万円問題の協力を申し出た(「立憲民主党側から103万円の壁の見直しについて協力したい旨のお申し出をいただきました。」)と語っている点です。代表が他党に申し出てるときに足元では同じテーマでケンカ売ってるんだから、本当に何を言ってるんだという話です。
※なんだかんだ言って自公が政権を維持できるのは、反対意見を言う人が存在しながらも党議拘束はきっちり守るというところだろうと思います。いくら前言を翻したと言われようと、内閣に入れば内閣の意思通りに発言し行動できないと、個人の思い通りに振り回されてはひいては国民が困るわけですから。だからこそ政党の公約は信じられるし、その公約に従って有権者は判断し投票するわけです。それがいわば議会制民主主義の根幹です。
玉木代表の記者会見では、立憲共産党の走狗と見られるサヨク系の自称記者が、「4党で内閣不信任案出したのに今回の首班指名で協力しないのはいかがなものか(有権者に対する裏切りではないか)」とか、「国権の最高機関たる国会の首班指名で決選投票に残り得ない2回目にも「玉木」と書く(つまりは無効票を投じる)のはいかがなものか?」などと突っ込んでいるのですが、まず野党第一党で盟主たる立憲民主党がそういった地均しをすべきであって、それどころか1政策である103万円の壁ですら党内で意見統一できてない(上に他党を攻撃までしている)政党のどこに首班指名するべき要素があるのか?という話ですね。
ましてや両党の支持母体の連合からは、前任者泉代表のころから国の基本4政策について合意しろとせっつかれていたにも関わらず、立憲党内で統一できなかった。だから立憲民主と国民民主は選挙前に合意できなかった。それで選挙を経た(つまり有権者にそれで約束して得票した)上で、政策を捻じ曲げてでも合流(野合)して政権交代を目指すべきだという言論は、完全に有権者をないがしろにしてバカにしたものです。
※しかも玉木氏が語るところによれば連合の支持まで取り付けた国民民主候補のいる選挙区に対して、後から立憲民主が候補を立てた選挙区まであるそうです。こうなるとなぜ国民民主が野田代表に首班指名すると思ったのか真面目に聞いてみたいところです。本当に人間なんでしょうか。まあ国民民主など立憲民主の分派であり子分くらいに思っているからこそこういう態度に出るのでしょうが。それこそ有権者をバカにしすぎというものです。
これしかも小狡いのが、いわゆる首班指名問題について維新に対しては表立っては言ってない気配なのがもうアレですよ(上に書いたが維新・国民民主のいずれが欠けても成立しない)。まあ維新は代表選するらしいので今言っても仕方ないというのはあるでしょうが。ハッキリ言ってしまえば、国民民主がキャスティングボードを握って実際に政策実現しそうな気配が出てくると(つまりは立憲民主以外がポイントを稼ぎそうになると)、途端にどだい無理な首班指名問題をしかも玉木氏にだけ強く問い詰めるのがもう実に活動家気質だなぁと思うわけです。
追記(11月20日):総合経済対策での3党合意
本日午後、自民・公明・国民民主の3党による補正予算に向けた総合経済対策の合意があった。国民民主側としてはすべてとは言えないが本筋と見ていた103万円の壁引き上げ、ガソリン減税検討などの要望を織り込んだ文言の書き入れを勝ち取ったとしている。
今後、103万円の壁については12月中旬の税制改正大綱への盛り込みが本戦となる。その後来年度本予算への組み込みという形へとなっていく。つまりまだまだ道半ばというより取っ掛かりができたと見るほうが正しい。もちろんそれでも非常に大きな取っ掛かりであることは間違いない。なにしろこれを真剣に進めなければ、過半数割れしている自公政権には明日がなくなってしまうからだ。「また騙される」などという戯言をあちこちで散見するがもうそういう事態ではないのだ。
今後のスケジュール
- 【総合経済対策】
- 11月12日:自民公明+国民民主での3党協議開始
- 11月15日:自公与党案のとりまとめ
- 11月19日:自公から経済対策文案提示
- 11月20日:経済対策の3党合意 ※税制改正への取っ掛かり
- 経済対策の基本的考え方という冒頭に”103万円の壁については税制改正の中で議論し引き上げる(手取りを増やす)”・”ガソリン減税(暫定税率廃止を含む)を検討し結論を得る”の2点修正要求で文言盛り込み。本来経済対策には必要ないが、これら文言を明示することで税制改正時の取っ掛かりをつけさせた。
- 3党間で、補正予算・税制改正・来年度当初予算での協力体制への合意文書署名
- 11月22日:閣議決定
- 【税制改正】:来年度予算向け
- 11月14日:自民公明税調と国民民主の協議開始
- 12月中旬決定か
- これが来年度通常国会の予算案に反映され提出される
- 【来年度当初予算】:3月末までの決着
- 来年1月に召集される通常国会で予算提出され審議を経て決議される。それにより来年4月1日~再来年3月末までの予算が決定される
- ここで103万円のカベがいくらになるかは今後の交渉次第だが、所得税の恒久的な減税措置として決定されれば勝ちとなる。もちろん今後もマスコミを含めた様々な妨害・交渉が予想される。
これらの要望折込が自公与党内の政調・税調だけではなく、国会の複数党間の協議の場で決定に至ったという変化については、国民は大きなものと感じるのではないだろうか。過去日本の税制は、長らく過半数を占め続けた自民税調メンバー(インナーなどと呼ばれる)が大勢を決定し、それが幹部会に提出され、最終的にまったくのブラックボックス下で税制改正大綱へと取りまとめられ、通常国会で当初/補正予算が通るという過程を経てきた。
しかし今回、国民民主党の定例記者会見やぶら下がり会見の公開により、日々の交渉過程もだいぶ公開された。もちろん交渉事なので交渉の内容やそれぞれの持っている目標数値、どこまで妥協できるかといった生々しいものは外には出せないが、少なくとも協議の過程が国民の目に明らかにされたという変化はとても大きいと感じる。
見方によっては少数野党による与党いじめと取る人も居るようだが、その少数野党は多くの国民の声を受けて動いている。いま現在の動きはまさに国民主権を体現していると言っても良い。自民税調や財務省を初めとした官僚組織が、これまでもっと国民に寄り添ってきたならばこんな流れにはならなかったであろうことは間違いない。また野党第一党がもっと多くの国民の声に寄り添ってきたならばもっと早くこの状態にも持ち込めたであろう。言い換えれば日本の停滞は、与党の責任でもあり、官僚の責任でもあり、もちろん野党の責任でもある。
※しかし日々の記者会見では「178万円はどこまで妥協できるのか?」などという記者の知能レベルを疑う質問が飛び出して面白い。交渉事で事前に妥協ラインをぺらぺら喋る交渉担当者が居るのだろうか?そんなことしたら交渉が交渉にならない。手の内は見せないからこそ交渉が可能になるのだ。例えばスーパーで「明後日からセール行います!○○は何円、△△は何円です!」なんて貼り紙をすれば、当然客がその商品を買い控えをするだろうことは小学生でもわかる。国会記者があまりに素人考えすぎる。もっとも国会記者など大半は新人か2年目3年目であって、官邸キャップくらいにならないとなかなかまともな記者にならないし、こういう形での政策協議自体が表に出ること事態がほぼ初めてに近いため致し方ないところもあると思われる(もちろん立憲共産勢力を応援したい=国民民主党の動きを阻害したいマスコミ各社の目論見もある)。しかしそれにしても冒頭の「今日はこれこれ」という話を全く聞いていないレベルなのはどういうもんだろうと思う。ふだん日本のものづくりの力が~とか抜かしてるマスコミも、全体の流れを理解したり人の話を聞いたりといったごく初歩的なことすらできていないのは非常に情けない。今までがワイドショーネタを拾ってくる程度の低い仕事しかしてなかったのだから無理もないのだが、願わくば政治のあり方の変化に合わせて政治を扱う記者のレベルも上昇してほしいものだ。国会はワイドショーレベルであってはならないのだ。
ハング・パーラメント下での与野党を含めた政党間の協議により政策が決まっていくということについて、一部自称リベラル政党とべったりのマスコミは大変ご不満のようだったが、今まで是々非々で交渉してこなかったから、今までイデオロギー論争と政局遊びしかしてこなかったからこそ、148議席も持っていながら不遇をかこっているのだ。アンチ与党は一部の支持者にはウケがよかったのだろうが、多くの有権者には見切られるものでしか無かった。それがこうやって協議進展という形で現れてくると、まさに「自称リベラルは今まで一体何をやっていたのか」「クイズ大会は意味があったのか?」という声が大きくなっていくのは仕方ないだろう。もちろんそれを垂れ流し続けたマスコミ各社の責任も問われることになるだろう。
国会というと予算委員会でのクイズ大会しかマスコミは流さないが、日本の(税制を含む)政策決定過程がこうやって明らかになった点については非常に大きな変化だと思うし、また若者に対しても「選挙に行けば日本が変わるのだ」という政治への希望を持てるようになんとか成果を勝ち取ってほしいと思う。
追記(11月23日):財務省出身玉木氏の本領発揮のReHacQ
元日経新聞記者で現在はフリージャーナリストで活躍中の後藤達也氏との対談が行われ、非常に濃い経済政策についての議論がかわされている。
まあまあ全編面白いのだが(結構難しい金融財政理論の話もちょいちょい出てくるが)、この中で特にわかりやすくて気になるのは、103万円議論の中で財務省から示された「7~8兆円の税収減になるため財源措置が必要」という指摘における「7~8兆円」という根拠の話である。
※時間指定リンクしているが念の為57分ごろから。映っていないが司会の高橋弘樹氏(と思われる)がこの根拠について尋ねているシーン。
詳細はまだ国民民主党には知らされていないが、玉木氏が明らかにしたのは次の2点
- (財務省から)資料を取寄せたら「基礎控除を1円(万円?)上げたら500億円の減収になる」と書かれていたという(しかも「大きな幅を持って見る必要がある」という注釈までついていたという)。基礎控除を10円(万円?)上げたら5000億円、20円(万円?)上げたら1兆円という単純計算だったという。もちろん500億円の根拠・内訳はないのだという。
※玉木氏は1円、10円、20円と言っているがちょっと計算が合わないのではないか? - また乗数効果は含んでいない(要するに減税した分が国民に回ることで消費行動に結びつき(再循環が起こり)結果的には消費税や法人税が上昇するのではないかという話)
また最新の税収見積もりは出てきていないのだという。日本の財政が単年度主義なので、何か減税をやったら単年でこれだけ減ると言う考え方しかないのだという。
つまりは現時点では財務省が先制パンチとして繰り出した「7~8兆円の減税になるため財源措置が必要」や「地方行政が困る」などという指摘をマスコミまでが一斉に報じて国民民主党を攻撃したはいいものの、その根拠数値すらたいがい曖昧なものであるということである。
自民税調インナー限定の税金議論と言い、本当に国民の方を見て政治・行政をしているのか?という疑問がふつふつと湧いてくるし、30年ぶりという絶好の機会に恵まれた国民民主の面々には、ぜひこの機を逃さずきっちり国民のためとなる成果を勝ち取ってほしいものだ。
※一番わけのわからないのは、マスコミがほぼほの立憲共産党寄りなので国民民主党がキャスティングボードを握った瞬間に一斉に財務省寄りになって、あるいは自民党の総務大臣や知事会、隠れてはいるが財務省などの肩を持つかのように国民民主党を一斉攻撃する姿勢こそ如何なものかと言わざるを得ない。国民民主党は前回の衆院選の比例で616万もの票を勝ち得ている。現在のマスコミの報道姿勢は、この民意をないがしろにするものだということがなぜわからないのだろうか。また今回の議論を慎重に見守ることは国民民主党だけに与するものではなく(ましてや石破政権を延命することでもなく)、投票行動を起こした若者や、せっかく登場した財務省と渡り合える政党という貴重なチャンスを、握り潰すことにもなりかねない。マスコミ各社にはその意味をよく考えてほしい。それともやはりマスコミはマスゴミでしかなく、ただの反日組織なんだろうか。