テレビ東京系の「YOUは何しに日本へ?」という番組があります。
主に成田空港の到着ロビーで張り込み、日本に訪れた外国人に密着インタビューするという内容です。
この番組の特徴は、空港でのインタビューだけではなく、期間を決めずに日本を旅する旅行者などもおりそれに密着取材することにあります。
旅行者は国も出自も異なるため、自然と番組内容もバリエーションに富んでおり面白いものとなっています。
日本に興味を持って訪れる外国人の「目線」は、私達が日々の生活の中で忘れてしまっている「大切なもの」に気付かされることもあり、見ていてはっとすることが多いですね。広い意味では比較文化学にも繋がる非常にいい番組だと思います。
しかしそこは日本のテレビ局。
時々残念なスタッフが登場して、とても残念な気持ちにさせられます。
相手に無理なお願いをしてまで密着したり、日本人が常識として持っているレベルの知識を若い外国人から教えられる映像が流れることがあります。
相手の身になれば理解できますが、日本を訪れる外国人は貴重な時間と結構な額のお金を消費して訪れているのです。
もちろん、インタビューに応えるくらいだから日本や日本人への理解が深い方が多いのでしょうが、その相手の好意に甘え、頼りきり、なかんづく相手のスケジュールの邪魔になるなどは許されないことだと思います。
もっと残念なのは、取材スタッフが日本人としての常識すら持ち合わせていない点でしょう。
例えば神社の参道の中央は神様が通る道であるので、端によって歩いたほうが良いとされています。
日本人は、神々は清浄で穏やかな空間に宿ると考えるため、中央を開けることにより全体として神聖な空間が維持されるということでもあると思われます。「清らかにした空(うつ)に神が宿る」ということであり、注連縄なども同じ効果を発揮することを意図しているともいえます。これは教えられたから知っている、教えられていないから知らないという類のものではなく、日本で生活していれば自然と身につく日本社会の共通概念ではないでしょうか。
こういった日本人なら社会にでるまでに自然と身に着けているような常識すら知らず、そればかりか相手の外国人に教えられる映像が流れてしまうのは、見ていてとても残念です。
そういう映像を隠せというのではなく、相手の好意に甘える事で成り立つ番組であるからこそ、相手への礼儀で返すべきであると思います。
いやいやそうではなく、あえて外国人に喋らせることで番組を成立させているのだというテレビ業界の文法的なことを理由に上げて擁護する人もいるでしょうが、この番組のスタッフはとうていそのレベルには達していないということを感じます。