老老輸送

高齢ドライバーによる事故多発のニュースが相次ぎ、その後全国で広まった免許返納。その影響がどこに出ているかというニュースが流れています。

News Up 調べてみたら“老老輸送” | NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171016/k10011176851000.html

要するに、免許返納した人は「公共交通空白地有償運送」という国の制度に基づいて行われているNPO法人のサービスを利用しているということです。

公共交通空白地有償運送とは

「公共交通空白地有償運送」というのは、近所の人の善意に頼るのも無理があるから、国の制度に登録した人に対して、ある程度(百円~数百円)払うことで送迎してもらおうという制度のようです。

自動車:自家用有償旅客運送に関係する通達について – 国土交通省
http://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk3_000044.html

この「公共交通空白地有償運送」を運営している団体は、全国で93あり814人のドライバーが登録されているということです。

しかもこの「公共交通空白地有償運送」を運営しているNPO法人のドライバー自体が高齢者になっており、運営が厳しいという状況だということを伝えています。

まあ当然といえば当然でしょう。

老老輸送の実態

そこでNHKが全国の登録ドライバーに取材した所、全体の実に56.7%の462人が65歳以上だったということです。

つまりは老人を老人が輸送しているという現実が浮かび上がったというわけです。このままでは登録ドライバー自体が返納する時期を迎え、制度が崩壊するのも時間の問題というわけです。

NHKの取材では、関東地区(山梨含む)でも63.3%が65歳以上だったということで「地域の問題ではない」と結論づけていますが、本当にそうなのでしょうか。関西・中国では57.8%、九州でも58%とけっこうなバラつきがあるようです。

実際のところは「関東圏」とひとくくりにされながらも東京都一極集中が進んでおり、首都圏(東京都+近辺)以外では地方と同じ状況にあるのではないかという気がします。

あるいは、首都圏では交通交通機関が充実しているエリアが多いため、この制度が実施されているエリアが偏っており、他のブロックよりも高めに出てしまっているのでしょうか。国交省が統計データを公表していないため、実態はよくわかりません。

対策の対策

ここで「老老輸送」を防ぎドライバーの若返りを目指すという流れになるのですが、そこで紹介されているのが結局は国の制度である「地域おこし協力隊」を利用するというものです。

「地域おこし協力隊」は、地方に移住して活性化に取り組む若者に国が給料を支払う制度で、3年間の任期中しか給料が出ないため、その後は自立する必要があります。

しかし元々「働く場所がない」ために若者が出ていった町に、新たに”何のつながりもない人”が定住できる可能性など相当低いでしょうし、もしそれが可能ならこれまでも人が移住していたはずです。

「働く場所がない」というのは、地方の小さい企業には若者を定期的に就業させるという余裕もなければ、若者側からしても魅力がないということで、双方毛嫌いするために起こっているのが現実でしょう。

またそれ以外にも地方ならではの親密な人間関係とは裏腹に、馴染めない人には風当たりが強くなる(村八分状態)という部分もあるのではないかと思われます。

結局は人口問題

こうしてみると、この「老老輸送」問題も地方没落問題の構成要素の一つに過ぎず、その根本的な解決は地方に人を移住させるという話に帰結するということです。

一方で、経営者らで作る団体でも労働力不足を年々訴えており、その解決法として外国人労働者の条件緩和という話が、ここ数年ずっと話題に上がっています。

つまり、若者がいるはずの首都圏や○大都市圏ですらもうずっと「人不足」なのです。実際首都圏のファストフード店でも外国人が従事している姿はもう10年程前から見られますし、その傾向はますます増加しているように感じます。

だとすれば、やはり国を挙げて地道に人口維持のための取り組みをしていかざるをえないわけで、それには結局、高齢者向けに分厚く振り分けられている医療費などの社会保障費を若年層向けにバラ巻き直すしかないと思われるのです。

未だに学費無償化ていどで揉めていますが、それどころか今後は、子育て世代に現金をバラまくくらいの思い切った施策をしない限りは、今後この国が迎える困難を乗り切ることは難しいでしょう。

今までは、選挙向けに最大の票田である高齢者層向けの施策を重点的に行ってきた各政党も、これまで以上に本気で取り組まないといけないのは明白です。

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