「AIが自治体の職員に?」

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「AIが自治体の職員に?」というニュースをNHKが伝えています。

AIが自治体の職員に?|NHK NEWS WEB
http://www3.nhk.or.jp/news/business_tokushu/2017_1018.html

この報道では、各地方自治体でAI導入が始まりつつあるとして、さいたま市でAIが「保育施設の割りふり」を決める実験を紹介しています。

同市では、毎年保育施設への入所を希望する子供が8000人近くに上っており、それを300を超える保育施設に割り振っているといいます。この割り振りは、

  • 「祖父母が同居しているか」
  • 「母親の勤務時間は」
  • 「世帯の収入は」

などといった条件での振り分けの他、

  • 「きょうだいで同じ施設にしたい」
  • 「通勤経路にある施設がよい」

などの希望も考慮しながら行うといいます。

 

この作業には例年、30人の職員が50時間を掛けて行ってきたといいます。

実に馬鹿馬鹿しいことです。

保育施設の割り振りが馬鹿馬鹿しいのではなく、その割り振り作業に何の疑問もなく30人×50時間=1500人/時間も掛けてきたことが馬鹿馬鹿しいのです。

仮にこれらを担当する職員の平均時給が2000円(荒っぽい計算で月収32万円相当)だとしましょう。1500人/時間×2000円=4億8千万円です。単年度ではなく毎年、これだけの巨額の費用をかけて行ってきたのです。

パートさんなどを活用したとして平均時給を半分の1000円(月収16万円相当)にしたところで軽く億を超えるお金をかけているのです。なお最低賃金は(東京都では)1000円に近づきつつありますので、これ以上下がることはありえません。

 

この作業を今回、富士通研究所が開発したAIに行わせた所、わずか数秒で終了したといいます。

なおかつ割り振り結果は、人間が手作業で行った割り振りとほぼ同じだったということです。

さて、記事ではさいたま市保育課の担当者の弁が紹介されています。

長い時間をかけて行っていた作業が数秒でできることに驚いた。ただ、AIの判断だけで決めてしまっていいのか不安は残るので、最終的に人が確認することは続けないといけないと思う。性能に信頼がおけるようになったら、本格的に導入を検討したい

 

最近AIに関する報道は、人間の仕事場が奪われるという面でのネガティブな報道が行われることが多くなっています。

しかしそれが無駄なコストであれば率先してAIに代替されるべきなのは当然です。

「何が無駄だ!神聖な職場をけなすのか?」などと怒り出す人がいるかも知れませんが、上記の話を子供連れの若いお母さんに話して感想を尋ねてみてください。きっと逆に怒られるのではないかと思います。そんな予算があるのなら、それを保育施設充実や、保育士への給与に割り当てて欲しいという切実な願いが出てくるでしょう。

当たり前です。市民サービス従事者のコストが上昇しすぎて市民サービスの質が低下するなど笑い話です。ある仕事が無駄かどうかは、従事する人間ではなく、そのサービスを受ける人間が判断すべき事柄です。

 

本来、役所の行う仕事の大半は、ルールが明確に決められたものに沿って、比較的単純な作業を繰り返すことが多いように感じます。※個人的主観です。もちろん全部とは言いません。

例えば上で検証されていたように、一見複雑に見える作業でも、ルールさえ明確であればコンピューターのほうがよほど正確に、なおかつ素早く(一瞬で)終わらせることができます。

こんなことはすでに数十年前からわかってきたことであって、今さら驚くべきことでもありませんし、これまで税金を投入する役所が何ら改善されてこなかったことに驚きを覚えます。

先のコメントを正しく直せばこうなります。

長い時間をかけて行っていた作業が数秒でできることに驚いた。ただ、AIの判断だけで決めてしまっていいのか確認が必要なので、最終確認のみを有能な人間で行うことにする。性能に信頼がおけるようになったら、本格的に職員とのリプレースを行いたい

 

日本経済は今後、急激な人口減少に引きずられて長い長い景気後退局面に入ります。(すでに入っています)

少子化の原因などの話はまた別の問題ですのでここでは置いておきますが、その景気後退局面では、政治・行政にかかるコストをいかに下げるかというテーマは最も重大なことになるでしょう。過去、景気拡大局面(高度成長期~バブル期)では人間の創造性の関与が必要な場面が多々ありましたが、後退局面においてはむしろ人間は抵抗勢力となりかねません。実際、現在の政治闘争を見ると、多くの論点がそれに関与している人々による「抵抗闘争」でないかと思わされます。

現在その仕事に従事している人の権利保護を目的とするのではなく、10年、20年後、100年後の未来やこの国の体制を考えての政治論争になって欲しいものです。

 

もちろん役所の仕事の100%が単純にAIに置き換えられるわけではありません。しかし窓口業務を含めた多くの作業がAIで代替できるのは確実です。有能な人間の能力はその有能さが発揮できる部門で発揮すればいいのです。なおかつ瞬時にスパッと切り替えられるものでも当然なく、徐々に社会に浸透させながらの切り替えにはなっていくでしょう。

AIを含めたコンピューターの稼働コストは、今後ますます低廉化していきます。その際には、「AIに代替した場合のシステム利用料」を「その労働に従事している人間の給与」と比較して積極的にリプレースを行っていただきたいものです。

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