関空報道に見るマスコミの歪みと日本の復興力

2018年の台風21号は、とくに関西地方に大きな爪痕を残しました。

とりわけ大阪府は、近年珍しく大きな台風被害を受け、中でも関西国際空港はその象徴たる存在になりました。

空港に燃料を運んでいたというタンカーが台風で荒れる海の中流され、ついには関空と陸地側を結ぶ連絡橋に何度も激しくぶつかり、素人目にもはっきりわかるほどの大きなダメージを連絡橋に残しました。

マスコミ報道はどうであったか

TVを中心としたマスコミでは、これらの台風被害を連絡橋にぶつかるタンカーの映像と、完全に水没した関空第1ターミナルのみが大きく取り上げられ、繰り返し繰り返し流されました。合わせて空港で閉じ込められ混乱する外国人旅行客を中心に映すことで、インバウンドで好調だった関西圏へのダメージが大きいことが、何度も報道されました。

恐らく日本国民の印象としては、短くても数ヶ月、いやもしかすると半年は関空はマヒするんじゃないか。さらにそれは関西経済への大ダメージとなるのではないかと感じたはずです。復興期間の差はさておくとしても、実際私自身もそう思い、(旅客以外の貨物輸送も考慮すると)さらには日本全体の経済にも悪影響を及ぼすだろうと想像しました。

しかし初期報道が落ち着いてみると、実は第2ターミナル及びB滑走路はまったく無事で、しかも当夜にはピーチエアの旅客回送便が着陸したとまで伝えられたのです。結局冷静になってみれば、今回ダメージを受けたのは、連絡橋、第1ターミナル(電源含む)、A滑走路であったことが判明します。

ここでマスコミは、センセーショナルな報道ができなくなった関西から興味を失い、さらに2日後の6日午前3時に起きた「北海道胆振東部地震」のみを取り上げるようになったのです。※とくに酷かったのは、関空以外の関西の停電地域に関する報道が行われなかった点だろうと思います。

日本の復興力

ここからが驚きの連続だったのは、みなさんも同じではないかと思います。

台風からわずか3日後の9月7日には、ピーチ便を含む11便が離陸し復活への狼煙を上げます。その後も、旅客便数は日を追うごとに増加し、貨物便についても動きは遅いながらも徐々に復活し始めます。

9月13日には旅客便が台風前の4割にまで回復し、さらに水で浸かった第1ターミナルも翌14日には再開させると報道されました。

そして台風から10日後となる14日には、ずれた橋桁2本ともの撤去が終了し、先に発表されていた21日の第1ターミナル再開に合わせて鉄道路線(JR及び南海電鉄)の再開までアナウンスされました。

驚きだったのはその翌日15日に、この再開予定がさらに前倒しされ、鉄道の再開が18日に行われることが発表されたのです。

もちろんこの驚異的な回復力の影には、関空会社、鉄道会社、Nexco西日本など関空と関空の動線をささえるインフラ企業と、現場で日夜奮闘する作業員の力がありました。

しかしこの復興力こそが、古来様々な災害に見舞われながらもこの島で生き続けてきた、日本人の底力であったのではないかとあらためて感じました。

もちろん、関空会社の危機管理能力の低さ、関空のインフラ設計の甘さ、タンカー運用の甘さ、連絡橋という生命線の軽視など反省すべき点は多々あります。今回の被害を受けて、これらの点は厳しく点検されるべきだろうと思います。しかし、それをもって余りある底力を見せれたことについては、日本は自らきちんと評価すべきだと思います。

そうでなければインフラを支えて奮闘した現場の方々が報われません。ヒステリックでセンセーショナルな報道や、なにかといえば原因追求ですらない批判報道ばかりが目に付きますが、そうではない冷静な別の視点もマスコミは持つべきでしょう。

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