あまり誰も教えてくれない、「社会人になってやるべきこと」をまとめておこうと思います。
ただし報連相とかメールの書き方などの日々のお役立ち情報ではなく、数年後、十年後を見据えて努力すべき事柄を書いています。
1.作業の標準化をしよう
標準化というと難しそうだけど、要するに日々の行動や仕事の内容を「標準」と照らし合わせて、自分が今何をしているかを概念として捉え、標準的な用語を使って説明できるようになることです。
作業に名称をつけ、作業工程を分け、それぞれの段階での成果物や作業内容を規定してみましょう。分類するというのはそれぞれの作業の違いを意識することです。どの段階で確認や許可をもらいどの段階はあなたの判断でやっていいかも整理しましょう。
上司に「おーい、○○やっといてくれ」と言われた時に標準化ができていると、この仕事(作業)はこういう成果物を求められていて、作業工程はこうで、注意すべき点はこれこれこういうことだなと瞬時に判断できるようになります。もしかすれば、事前に作業に必要な情報や素材をもらっておく必要があるかもしれません。
これはとても大切なことです。なぜなら標準化できるということは、その作業の効率を上げ、さらに成果物の品質を向上させる(再生産能力の向上)ことにもつながるからです。それはダイレクトにあなたの評価に結びついてくるでしょう。
また基本形が覚えられれば、AとA’の作業の違いや成果物の違い、注意事項などの違いが意識できるようになります。AとBでなぜ作業工程が異なってくるのか?なぜ別の作業になっているのか?なども自然と意識せざるを得ないため、段々と日々行っている仕事内容のマニュアル化が行えるようにもなるはずです。さらに自分の作業以外でも、他人がやっていることも(あなたに見える範囲で)観察して標準化してみましょう。
マニュアル化というと紙にまとめるということではなく、頭の中で分類・整理した上で瞬時にその作業に必要な情報が取り出せ、実行できるようになることです。新人のあなたも、数年後には「先輩」となり、「後輩」に教える必要が出てきます。さらには「上司」にもなれば、「部下」を育成・指導し、評価する必要も出てきます。標準化は、それらの基礎となってくるものです。
2.根拠・関連法令を知ろう
あなたの行っている作業に関連する法律や命令(法令)は何かを把握しましょう。
大企業に勤めている場合、もしかすると会社もしくは業界特有の根拠法が制定されていることすらあります。金融業や生命保険業、元は公社であった産業などが最たるものですし、中小企業の場合でも、何らかの素材の取り扱いや販売方法、商品の内容表示方法など、法令には様々なものが定められており、日本国民・日本で活動する法人である限り法令遵守する必要があります。
最近ではこれを、コンプライアンスなどと総称しています。コンプライアンスなどというと企業の幹部やトップだけが関係するものと感じてしまいますが、入社一年目の新入社員であっても遵守しなければなりません。
さらに法令を知った後は、その法令の所管省庁や法改正などの状況の把握にも努めましょう。所管省庁のホームページを開くと、様々な動きを知ることができます。こうしたものが即座にあなたの日々の作業に関係することは稀でしょうが、将来の動向というものがボンヤリとでも頭に入っているかどうかで、あなたの動き方は変わってくるはずです。
また、法令や関連規則、省庁の出すペーパー類も1で述べた標準化された言葉で記述されていますから、とても勉強になります。さらにあなたの会社や部署では、○○という事業形態のこういう部分を担当しているんだなとか、前後で関係する企業などの存在も意識するようになるでしょう。
こうして調べるうちに、あなたの所属する業界の動向を知ることにもつながってきます。業界団体などを知ることになり、業界団体での課題や取り組みを知ることもできるでしょう。
3.世界標準を知ろう
日本での根拠法令や業界動向を知ることができたあなたが次にすることは、世界標準を知ることです。
あなたの所属する業界の世界標準について知ることは、業界動向のさらに未来を知ることになります。世界において、あなたの所属する業界でのホットな話題は何でしょうか?どんな課題があると認識されており、それに対する取り組みはどのようなものが行なわれていますか?
一部の伝統的産業を除けば、だいたいどの業種にも世界的な業界団体があるでしょう。そうした団体で出しているペーパーなどに接することで、さらに大きな標準概念を知ることができるでしょうし、日本との違いを知ることもできるでしょう。
たとえばあなたの会社の英語名称を言えますか?業種や業務内容、業務用語を英語で説明してみると、今まであいまいだったことを整理する必要が出てくるはずです。さらに英語圏での文化と日本との違いを知ることにもなるはずです。
私達はふだん、日本語話者さらにいえば日本語文化圏で育った人間に取り囲まれているため、他言語(他文化)での考え方に接する機会があまりありません。日本にいるとあまり感じられませんが、世界では様々な文化があり、歴史があり、課題があり、紛争があります。
例えば水。日本は恐ろしいほど水に恵まれた国であることはあなたもなんとなくわかっているはずです。その反面、近年は水に関係する災害というものも大きくクローズアップされるようになってきています。水への備えが今後10年単位での日本の大きな課題となってくるでしょう。では他の国では水はどういうものなのか、水について今世界は何を議論しているかを知ることはとても大切です。
こうした身の回りのありとあらゆるものについて、世界での捉え方や考え方を知ることができれば、日々のあなたの行動や考え方は何かしら変化するでしょう。
この1~3の繰り返しは、きっと社会人としてのあなたを成長させるものになると思います。