野党への小さなブーメランと大きなブーメラン

政治漫談
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このところ、国政において野党議員が与党議員を追求すればするほど野党へのブーメランとなっている状況が続いている。

ブーメランという言葉はよく言われるが、これには大小2種類のブーメランがあるように感じる。

小さなブーメラン

そもそも追求しているネタが言い間違いであったり、ちょっとした失言レベルであったりするため、それをやっきになって追求すればするほど野党の無能感が漂ってしまうのだ。もっともお話にならないのは、あるスキャンダルで追求しようとすると旧民主党の政権与党時代のスキャンダルまでが明るみに出てしまい追求が有耶無耶のうちに終わったり、話をすり替えることを繰り返して問題の所在がどこにあるのかすらわからなくなる状況だろう。

今回騒いでいる「桜を見る会」などその最たるものとなっており、当初は会そのものが問題だと行っていたのが、鳩山政権時に実施していたこと(なお菅総理・野田総理時代も計画していたが震災などで中止)が知れ渡ると、次は推薦枠を問題にし始めた。しかしそれも鳩山政権時代にも推薦枠があったことが明らかになってしまい、それを安倍総理の推薦枠850人を問題にし始めるが、すでに世間の反応が鈍くなっており効き目が弱く、早々に諦めてしまう。

次に見る会前日に開催されていた安倍総理後援会のホテル ニュー・オークラでの前夜祭を問題にし始め、会費の差額を総理後援会が支出しているのではないかと主張をするも値段が相応だと反論されると、その次は逆に安すぎると手のひらを返したりと忙しい。そもそもニュー・オークラでの前夜祭で高級すし店「銀座 久兵衛」の寿司が出ていたのではないかという話自体野党議員の妄想から出たものであって、それすら久兵衛側から否定される始末である。さらに次はニュー・オークラ側が不当に廉売しているしているのではないかと見積もりをとるが、これも勝手に料理を盛り込んだものであったり、過去の民主党時代のニュー・オークラを騙った「ニューオークラ」という手書きの領収書が登場したりと、叩こうとすると悉く野党側への反射攻撃となるブーメランとなってしまっている。

これを小さなブーメランと呼ぶことにする。単発では「バカだなぁ」程度だが、徐々に別の効き目が発動する。それが次で述べるものである。

 

大きなブーメラン

こうした問題追求を通じて与党自民党の支持率が下がったかといえばあまり目に見えるような変化はなく、むしろ野党支持率が下がっていたりする。これは何故か?

以前にも書いたが、すでに国民は旧民主党政権を通じて二大政党制などという幻想を見切ってしまっており、さらには大震災を始めとする災害を通じて国土保全の大切さや政治がなすべきことについて自ら痛感した。早く言えば2011年以前と以降では、政治(国会議員)に求められることは一変した。これに加えてネットの広まりとSNSの拡大により、既存メディアのウソがすぐさま否定される状態となっている。

こうした時代において、揚げ足取りととられかねないレベルの失言や、ちょっとしたスキャンダル程度で大騒ぎする野党に対して、国民はほとほと呆れつつある。国会はクイズ大会の場ではないし、警察の真似事を行う場でもない。仮に巨大なスキャンダルで現政権が退陣に追い込まれたとしても、それで即ち野党に政権が移るかといえばもちろんそんなことはなく、自民党のナンバーツーが代役として立つだけであることは容易に想像できる。

この局面において野党がなすべきことは、しっかりとしたビジョンの提示と、前政権時の経験を反映した現実的な政策の提示ではなかろうか。あれ程騒いでいた埋蔵金などどこにもなく、結局は10年単位で痛手を見ることになっただけの失策の反省は、未だに野党からは聞こえてこない。2019年の大水害においてもダムや遊水地などの有効性は火を見るより明らかで、八ッ場ダム中止がどれほどの失策であったかを印象づけるに至ってしまった。

こうした地道な政権獲得のための活動を行わずに与党の粗探しに終止している野党の姿勢はとても褒められたものではなく、少なくないはずの安倍総理支持ではない与党支持者や、浮動票などの支持はまったく変化していないように感じてしまう。そればかりか、都度々々幻滅させられる野党に対して、「やはり二度と政権を渡してはならない」という意思より強くしてしまっているようにすら感じる。

これが大きなブーメランである。

これは笑い話で済む話ではなく、やればやるほど跳ね返って野党に突き刺さり支持率の低下へとつながる。結果的に安倍政権は長期政権にも関わらず支持率は高止まりしている。

 

この構造に気づかない限り、野党が支持を集めることはないだろう。

言うまでもなく「健全な野党」の存在は必要であり今後も消滅することはないが、それには山積する諸問題に対する政策を是々非々で議論し、この国の未来をより良くする努力を怠らない野党でなければならない。

 

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