どうやらマイナンバーカードを「受取拒否」するひとがいるようです。
受取拒否したところでなにがどう変わることもないのですが、受け取りを拒否することで意思を示すのだといいます。
マイナンバー自体は、システム上すでにすべての国民に割り振られており、受け取ろうが受け取るまいがその場号が消えることはないし、むしろ来年からは様々な場面で役所への申請時にマイナンバーが必要となります。
まずは税金を収めるところから始まりますが、そのうち銀行口座ともひも付けがなされるので、役所にいえないような怪しいお金の出入りがある人にとってはやっかいなことこの上ないのでしょう。
この制度が浸透することで、税金逃れをしたり、不正に補助金を受給したりといったことがなくなります。これについては、「クロヨン」だったり「トーゴーサンピン」などという言葉を調べれば多少裏事情がわかります。
いずれにしろ、年末調整で雀の涙ほどの還付金を受け取っているような善良なサラリーマンにはほとんど関係はありません。それどころか合理的に税金の取りっぱぐれを少なくする一般の国民にとっては歓迎すべきものなのですが、国民総背番号制を覚えている人にとっては、番号を付けること自体が生きるか死ぬかにも値する大問題らしいのです。
こうした意味不明でむだな抵抗が生まれる要因には、国民がバカということでもなく、この国のマスコミ報道にかなりの原因があるのではないかと思います。
日本のマスコミは、なぜかイデオロギー論争だけは得意で、とにかくなにごとでも色を付けたがる傾向があります。
- マイナンバーを知られるとお金を盗まれる
- マイナンバーは受け取らなければ番号がつかない
- マイナンバーは写真付きカードを申請するまで無効
これらはすべて無知からくる誤りです。
しかしこうしたごく初歩的な勘違いが生まれるほど、制度の周知も行われていない。いかにマスコミがサボっているかがわかります。
その制度がなぜ必要なのか?その制度が問題ならば、ではどのような制度なら良いのか?
本来はこうした制度設計の問題点などが議論されるべきなのですが、とにかく政府の決めることはなんでも反対で、小さな穴を見つけてはそれだけを大きく取り上げ問題視することしか能がないのが現在のマスメディアです。
そうしたことがおざなりにされたまま法案が通過し、国民は内容を理解せぬまま制度だけがスタートするという流れが何度も繰り返されます。
結局、世論をリードする層にいる段階世代にとっては、この先20年ほどだけが関心事であって、その先はどうせ自分たちは死んでいるのだからと真剣に議論する必要も感じていないのでしょう。
戦後勢いだけで進めてきた国造りでしたが、それが構造的な問題を有していても対処療法だけで先送りされている事例が多数見えてきています。そうした様々な問題は、これからの世代が方向転換を行っていく必要があるでしょう。
国防問題しかり、社会保障制度問題しかり、エネルギー問題しかり、社会インフラの維持更新問題しかり、農業問題しかり、次世代を担う子育て問題しかり。
それには、上の世代に任せること無く自分たちで考え、自分たちで声を上げていくことが大事ではないかと思います。