昨年2019年1月から始まっている「マイナンバーカード方式でのe-Tax確定申告」の準備を行ってみました。やや言葉が冗長であったりするので、わかりやすくまとめたいと思います。
開始前の準備(カード関係)
いきなりe-Taxページに行っても何も出来ません。まずは環境を整える必要があります。
必要なもの
- マイナンバーカード
「利用者証明用電子証明書暗証番号」および「署名用電子証明書暗証番号」のパスワード登録をおこなったもの。頻繁に入力を求められるため、手元に用意しておく。 - カードリーダー
Amazonなどで安ければ1,500円~2,000円ほど。「マイナンバーカード(e-Tax)で使えました」と書かれているものを適当に選択。
マイナンバーカード
まずマイナンバーカードがないと何も始まりません。自治体にもよりますが、発行にはけっこうな時間がかかりますので、未発行の場合はすぐに手続きして受け取りが必要です。
なお自治体での受け取り時に「パスワード設定作業」がありますが、ここで注意が必要なのが、マイナンバーカードのパスワード設定には4種類あり、窓口では通常「住民基本台帳用」及び「券面事項入力補助用」の2つのみが必須で、残り2つは必要ないならば不要ですといわれてしまうことです。
e-Tax申請では残り2つも必要なため、必ず4種類ともパスワード設定を行うようにしましょう。もし未登録の場合には自治体窓口に行って追加登録する必要があります。
カードリーダー
ざっと検索すると、下記カードリーダーがe-Tax申請で利用実績があり、なおかつ格安(購入時1500円ほど)でした。
「SCM ICカードリーダー/ライター B-CAS・住基カード対応 SCR3310/v2.0」
なおカードリーダーは、購入後にドライバーソフトのインストールなどを済ませて読み込みができるようにしておきましょう。上記製品の場合、簡易パッケージとなっておりドライバソフトは公式サイトからダウンロードする必要があります。
SCR3310v2.0 USB Smart Card Reader – Identiv Support
利用者クライアントソフトの準備
e-Tax申請には申請者個人の認証が必要ですが、マイナンバーカードの場合は「公的個人認証サービス」を利用することになります。
これを利用するために、「利用者クライアントソフト」のインストールと設定が必要です。
利用者クライアントソフトのダウンロード | 公的個人認証サービス ポータルサイト
インストーラーを実行すると、「JPKI利用者ソフト」、「ICカードリーダー設定」、「更新通知設定」という3つのプログラムがインストールされます。
まずは「ICカードリーダー設定」を行い登録をしておきます。3種類あるのですが、2番目の「PC/SC対応」で接続している機器を選びます。
これでマイナンバーカードに登録されている個人認証データが確認できます。試しに読み取りと確認を行ってみましょう。その際には、マイナンバーカード取得時に登録した暗証番号が必要になってきます。
ブラウザ(IE/Edge)での準備作業
次はInternetExplorerまたはEdgeでの作業があります。下記e-Taxサイトの手順通りに進めていきましょう。
e-Taxソフト(WEB版)を利用するに当たって|e-Tax
- 利用規約の確認
- 利用環境の確認 ※OSとかブラウザとか
- 電子証明書の取得方法 ※今回はマイナカードなのですでに準備済
- 事前準備セットアップ ※これが大事です。これを実行すると次の作業が行われます。
1.信頼済サイト登録&ポップアップブロック許可サイト登録
2.帳票表示モジュール
3.ルート証明書インストール
4.署名モジュールのインストール
5.JPKI利用者ソフトのインストール
- 開始届出書の提出
e-Tax申請を行うための利用者申請。「利用者識別番号」が振り出され、暗証番号を登録する。これを使ってe-Tax申請を行っていく。
事前準備セットアップについて
なおe-Taxのサイトには、似たような作業を行う「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー【事前準備】|e-Tax」というページもあり、こちらでは上記作業のうち「ルート証明書・中間証明書のインストール」及び「ルート証明書インストール」だけを行うようになっています。
開始届出書の提出
e-Tax申請を行うための利用者申請を行います。要するにe-Taxでのアカウント登録作業です。
これを行うことで、あなた個人のe-Taxの「利用者識別番号」や「利用者確認番号」が振り出され、暗証番号(英数字)などを登録します。e-Tax申請時では、たびたびこの「利用者識別番号」と暗証番号を使って行っていきます。
なお途中で要求される「整理番号」とは、前年度に確定申告をしていて確定申告書類が送付されてくる場合に印刷されている8桁の数値番号のことです。もしないなら入力スキップで構いません。
確定申告書の作成開始
以上で準備はできましたが、もう一つ準備があります。
ブラウザ(IEまたはEdge)に、その年度ごとの事前準備セットアップを行う必要があります。
初回の場合、事前準備セットアップ(事前準備ソフトウェアのインストール作業)があるため、ファイルのダウンロードと実行が必要です。またインストール実行時には、ブラウザ(IEまたはEdge)を一度終了する必要があります。
ここまでくれば、確定申告書の作成が可能になります。
作成中データの一時保管と再開方法
一度で申告書の作成が完了しない場合、入力中のデータを保存しておき、そのファイルを読み込むことで作業を再開できます。
申告書作成中に画面下部に「確定申告書データの保存」というボタンがありますので、これをクリックすると、使っているパソコンに、「確定申告書」データ(「.data」)ファイルをダウンロードして保存できます。
確定申告書データの保存これまでに入力した内容を「確定申告書」データ(「.data」)として保存します。
再開したい場合には、次の手順になります。
- 確定申告書の作成開始
- 「作成開始」と「保存データを利用して作成」という二択画面で、後者の保存データ利用を選択する
- 「作成再開」を選択する
- 「参照」ボタンを押して読み込むデータを選択(パソコン内にダウンロードした「確定申告書」データ(「.data」)ファイルを指定する
- 作成再開したい税目を選択する
この保存したデータによる再開は次年度以降も利用可能だということですので、提出する前に保存するようにしておきましょう。
保存したデータは、トップ画面から申告書の作成を再開する場合や、翌年以降、申告書を作成する場合に利用できます。
よくある質問(FAQ)
想定しないエラーが発生しました。
公式サイトでは明確な案内は行われていないエラー。要するに準備が整っていないということで、スキャナーの設定やブラウザでのルート証明書インストールが行われていないなど、上記手順のどれかが抜け落ちているために発生するようです。
また、「ルート証明書」が何らかの理由で壊れていたり、おかしな登録になっているケースもあるようです。もし証明書がおかしいと思ったら次のことを確認しましょう。
- IEで「ツール」-「オプション」を開き、「コンテンツ」の「証明書」をクリックする
- 「中間証明機関」に「ApplicationCA2 Sub」があることを確認する
- 「信頼されたルート証明機関」に「ApplicationCA2 Root」があることを確認する
いずれもSub、Root以外の「ApplicationCA2」からの証明書があればそれは不要なようですので、削除しておきましょう。
なお「ルート証明書」には有効期限があるため、今回申請開始した場合には2023年に有効期限を迎える予定です。その場合は証明書を更新する必要があります。
カードリーダーで読み取れない
カードリーダーのドライバーを入れて、マイナンバーカードをセットしても、「利用者クライアントソフト」でカード読み取りが行えないケースです。
まずリーダーの使い方を確認し、カード挿入の上下を再確認しましょう。なお上で紹介しているカードリーダーの場合、マイナンバーカード裏面の金色の読み取り部分を上向きに(写真のある方を下向きに)セットします
またドライバーソフトウェアをインストールした直後であれば、一度パソコンの電源を完全に落とした後、再起動してみましょう。またその際にはカードリーダーのUSBコネクタを一度外しておき、再度接続するようにしましょう。
まずマイナンバーカードの情報が読み取りできているかどうかは「利用者クライアントソフト」で確認できます。それでもエラーが出る場合は、ブラウザの証明書を確認すればだいたいうまくいくかと思います。